英金融大手HSBCが富裕層顧客の巨額の脱税をほう助していた情報がICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)の調査によって明らかにされた。スイス部門が200か国以上の顧客の脱税をほう助したとされ、それらの顧客の口座残高の総額は1190億ドル(約14兆円)に上る。中には日本国籍のパスポート保持者296人、596口座、4億2000万ドルもあったことが判明した。世界的にしかも多くの人数が関わり、脱税指南の書面まで発見されたが、実質的には「特段、新しい情報ではありません」と業界関係者は言う。
一昨年の2013年にも海外口座の情報が大量に明になった。ゆかしメディアでは、
◆日本人「タックスヘイブンリスト」、実は大したことない?◆として、取り上げているが、今回は実際にはどれほどの価値があるものか。業界関係者によると、日本に関してはそれほどのものではないという。
すでにフランス政府などには知られており、「ICIJが一般に向けて報道したもので、特段、新しい情報ではありません」という。その上で日本人関連については「香港のHSBCで開設した顧客に対して、香港よりもスイスの口座の方が秘匿性がある旨の説明をして開設を勧めたというところでしょう」という。
日本関係296人分の口座開設の窓口は、ほぼ香港か、シンガポールではないかと見られている。
別の業界関係者によると、口座情報と個人情報を別々に保管したり、口座の名義人と銀行とは直接的に連絡を取らずに、エージェントを介して連絡を取ることが多いという。ただ、本人が口座にアクセスすることはそれほど高い障壁ではなく、例えば、欧州から陸伝い、もしくは空路で旅行の名目で入り、軽く100万円、200万円程度の現金を口座からおろしてくるということもあるそうだ。
これらの口座情報は、HSBCのエンジニアであるファルチアニ氏が内部告発として機密を持ち出したことにより発覚したもので、すでに欧州各国の税務当局は知っている。