空き家の固定資産税6倍に、迫る不動産危機

 2月28日から「空き家対策特別措置法」が施行される。これによって、空き家の相続人たちにとっては固定資産税が現在の6倍になることもあり、いよいよ不動産リスクが多くの人に身近に迫ることになる。

 これは、全国にある適切な管理が行われていない空き家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしているために、地域社会の安全面、財産保護などを尊重するために取り決められた法律。端的に言えば、危険な空家と自治体から指定されれば、税優遇から外れることになる。場合によっては自治体が立ち入り検査を行い、強制代執行で撤去されることもある。

 総務省の平成25年住宅・土地統計調査によると、全国の住宅総数は約6063万戸で、
その13.5%にあたる約819万6400戸が空き家で、件数は過去最高を更新し続けている。
さらに、野村総研のレポートでは2023年には、21%まで拡大する可能性も試算している。

 これまでの法律では、70年代に住宅が不足していた時代に、家を確保するために作られた制度がそのまま残っていたためで、税優遇は次のようになる。

◆住宅の敷地が200平方メートル以内 空き家の固定資産税は更地の6分の1
◆住宅の敷地が200平方メートルを超えた部分 更地の3分の1

 空き家が放置されるのも当然だが、ただし、人口が減少をし始めた現在は、当時の時代背景はまったく当てはまっていない。

 ALSOKが行った「空き家に関する意識調査」(親と別居する30代以上の男女500人を対象)によると、「親の住まい」について、すでに親が亡くなっている人は、「相続しなかった」人が36.5%だった。次いで「売った」22.7%、「自分が住んでいる」「取り壊した」がそれぞれ12.1%になった。

 基本的には相続しないと考えて良さそうだ。「どんな条件があれば住みたいか」については、「税金が優遇されれば」という意見もあった。

 東京都内で見れば、東京都都市整備局が行った実態調査では、東京都の空き家総数は平成20年で、75万戸に。特に大田区、足立区に多い。建築時期では昭和55年以前が30%以上を占めており、空き家継続期間は1年未満が約80%となっている。また、リフォームも約36%しか行っておらず、入居者がなかなか決まらない要因ともなっている。

 ちなみに最寄駅までの距離は、500メートル未満が26.7%、徒歩10分未満が62.8%と立地条件だけを考えれば決して悪いわけではない。

 不利なデータが重なるが、土地・建物を保有するリスクは今後とも高まっていくばかりとなりそう。


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