「25万ドル(約3000万円)はミドルクラスだ」。
日本国内では格差議論がいつ終息するのはわからないが、これに関係して米国で示唆に富んでいる話題が提供された。ミシガン大学の学生新聞であるミシガンデイリーに掲載されたコラムで、議論に火が付いた。
この筆者が世帯年収25万ドルはミドルクラスだと言いきったのだが、その真意はどこにあるのか。まず、200万ドルの自宅に住んでいるとはいうものの、ベッドルーム3室、バスルーム2室の質素なものだといい、プールや広い庭があるわけではないそうだ。
2億円以上の豪邸でもそうではないといい、周囲には400万ドルクラスの住宅はたくさんあるという(筆者の自宅周辺の住宅価格の中央値は200万ドルだと主張)。この筆者の自宅の場所とはカリフォルニア州のパロアルトを指している。IT長者、SNS長者が数多く住む、全米でも屈指のリッチな住宅街として知られているところだ。
ちなみに、住民の所得と住宅価格の中央値が高い自治体は次のようになる。
◆2014年 平均所得が高い自治体(所得、住宅価格)
1 ベセスダ 19万7622 82万5000
2 グリーンウィッチ 16万8367 110万
3 パロアルト 16万7408 173万
4 ブルックリン 15万6042 61万5000
5 ローワーメリオン 15万5593 48万
※CNNマネー集計
この集計結果によれば、パロアルトは所得では3位だが、住宅価格は173万ドルという高額なものとなっている。
そもそもにおいて、ミドルクラスの範囲とは厳密な定義が存在しておらず、誰と誰を比べるかによる比較対象でも違ってくるのは当然だ。
このコラムに対するメッセージは、「あなたはアッパークラスだ」「ジョークか?」といった否定的なものもあるが、「あなたの言うことはたいへん理解できる」「たいへん示唆に富んでいる」という賛成意見もある。
こんな調査結果もある。英ファミリーオフィス大手のオラクルキャピタルによると、富裕層の半数以上が、資産1000万ポンド以上(約18億円)が本当の富裕層だと考えていることがわかっている。
ちなみに、トマ・ピケティ氏が公開しているデータ集では、日本のトップ1%の平均年収は2145万円(2010年)となっている。