「資本主義のアンチヒーロー」的な存在で語られることも多いアクティビスト戦略のヘッジファンドだが、2012~2014年の3年間のリターンは複利ベースで年50%、また株価で言えばアクティビストが保有してから2年で平均25%上昇していることが、業界団体であるオルタナティブ投資運用協会(AIMA)の調査結果で明らかになった。
AIMAによると、アクティビスト戦略を採用するヘッジファンドの運用資産総額は約1200億ドルに上り、平均的な保有期間は2年で、株価は25%も平均で上昇しているのだという。2012~2014年の3年間のリターンは複利ベースで年50%となる。
まずアクティビストの本拠地だが、北米66%、欧州15%、アジア太平洋14%、南米4%、中東・北アフリカ0.8%、その他0.2%となる。
そして、モノ言う対象だが、コーポレートガバナンスの改善52%、会社の戦略変更26%、資本の効率化14%、会社の売却8%となる。
日本ではとかく、高値で買い取らせるグリーンメーラーを想像する人も多いが、実際にはガバナンスの改善を要求する場合が多い。彼らの主戦場である北米では資本政策は各企業ともに重視しており、日本企業のように貯金箱になっている企業はほとんどないのも理由だろう。また、日本は、アクティビストを毛嫌いする会社と株主が多く、成功例は数少ない。
ただし、ファナックを標的にしている米サード・ポイントは、ソニーでも成功しており、日本市場の研究をかなり施しているとも見られており、今後の行方が注目されている。
その米国でのやり方だが、会社をコントロールするよりも影響力を持つということを重視しており、そうした中でガバナンスの改善や、戦略の変更、資本政策の抜本的な改革などを目指していく。保有ポジションとしては、5%までの小さなポジションを取ることが多く、今はそこから他の株主との共闘を模索するなどしているようだ。
大御所カール・アイカーン氏は最近では、アップルに対する主張をツイッターで行うなど時代の変化を感じさせる。アクティビストたちの投資行動も変化していこうが、影響力を強めていることには変わりはないようだ。
AIMAのジャック・イングリスCEOは「アクティビストヘッジファンドの経済全体に及ぼす評価については、長年の懸案であるが、彼らが投資を行うことで、資本と資源の効率的な配分に改善をもたらし、パフォーマンスの改善をもたらしている」と述べている。