米USニュース社がロースクールのロースクールランキング2016を発表し、1位はイェール大学だった。ランキングの公表に合わせて、エモリー大ロースクールのドロシー・ブラウン教授が「3年以内にトップロースクールは閉鎖に追い込まれる」という主張をワシントンポスト紙に寄稿するなど、現状への厳しい意見も出ている。
このランキングは、ロースクール学部長、教員らによる評価、裁判官ら専門家による評価、学生・教員比率、図書館の充実度など12項目の加重平均に基づいて算出している。2014年秋から2015年初頭にかけて集計した。今年も、イェール、ハーバードなど上位陣は順位はほぼ変わらなかった。
◆ロースクールランキング(学費、学生数)
1 イェール 5万6200ドル 607人
2 ハーバード 5万5842ドル 1752人
3 スタンフォード 5万4366ドル 577人
4 コロンビア 6万274ドル 1170人
5 シカゴ 5万5503ドル 604人
6 NY 5万6838ドル 1423人
7 ペンシルバニア 5万6916ドル 756人
8 デューク 5万5588ドル 643人
8 加バークレー 4万8166ドル 890人
8 バージニア 5万1800ドル 1005人
11 ミシガン 5万1398ドル 1000人
12 ノースウエスタン 5万6434ドル 737人
13 コーネル 5万9360ドル 595人
14 ジョージタウン 5万3130ドル 1719人
15 テキサス 3万3162ドル 1025人
16 カリフォルニア 4万5226ドル 992人
17 ヴァンダービルト 4万9722ドル 525人
18 ワシントン 5万152ドル 749人
19 エモリー 4万9734ドル 819人
20 ミネソタ 4万1222ドル 681人
ブラウン教授は、大手の法律事務所でも雇用を減らして、作業を外注化するなどしており、卒業生の就職先は先細りしていることで高い奨学金を受けて経済的な負担を追ってまで進学するリスクを取れないということを危惧。一方で、法科大学院は、教員の終身雇用的な経費をカットすることはできない点にも触れている。
ちなみに、1位イェールの学費は前年調査では、5万4650ドル。2位ハーバードが5万3308ドルとまた上昇している。借金漬け、そして就職難では、志望者が減ることは止むをえまい。
米報酬調査会社ペイスケールが集計した、ロースクール卒業生の中堅どころの年収(中央値)は、1位ハーバードロースクール20.1万ドル、2位エモリー大ロースクール20万ドル 3位サンタクララロースクール19.7万ドルとなる。
元ワシントン大ロースクール学長ブライアン・タマナハ氏の著書「アメリカ・ロースクールの凋落」にも記述にもある。最高裁判所が認証評価で制度によって各ロースクールを格付けするが、その際に重要視されるのが教職員の待遇面で、つまり人件費高騰のために学費も高騰していることが一つの理由だという。
本当に3年以内にトップロースクールの中から閉鎖校が出るのかどうか。