78億円の払い戻し
仮に単勝1番人気を買い続けても回収率は80%程度にしかならないのが相場。しかし、それを収益源に変えて、億単位の利益を出すという新手の猛者たちの出現に、税法が追いついていないことが、こうした事態を招いてしまっている。
最高裁で判断が下された男性はコンピュータソフトを作成して、ソフトが弾きだした買い目で馬券を購入していくというもの。いわゆるエンジニアとしての能力を発揮して、それを競馬にアレンジメントして34億円の払い戻しを受けることになった。他の馬券訴訟では、5月に東京地裁で判決が予定されている北海道の男性のケースは、5年間で払戻金は総額78億3800万円、購入金額は総額72億6900万円。その差額の収益は総額で5億6900万円となっている。
この男性の買い方は、ソフトなどに頼るものではなく、天才的な馬券師とも言えるようなものだ。
出走馬の過去実績、レースへの適合性、機種の技量や馬との相性、その日の馬場コンディション、枠順、コースの特徴、馬場状態などを組み合わせて買い目を決定するというもの。
男性側は準備書面で「レース直前までの情報をノウハウに組み込んで予測を行い、馬券を大量に購入する。コンピュータソフトいじょうに正確な分析を行っていたことは明らか」と主張している。そのノウハウは公開してはいないが、おそらく公開したとしても、この男性にしかできない特別なものであろう。
男性は所得税額2億1000万円と申告したが、追徴、延滞税なども含めて実際は5億円以上の支払いを迫られた。男性の申告額と、課税庁による更生金額は次のようになる。
◆男性が申告した雑所得と給与と税額
平成17年 2118万円 456万円
18年 6211万円 1972万円
19年 1億2509万円 4663万円
20年 1億921万円 4021万円
21年 2億1182万円 8125万円
22年 5949万円 2029万円
※1000円以下は切り捨て
◆処分庁による更正金額と税額
平成17年 4670万円 1401万円
18年 8595万円 2854万円
19年 2億9041万円 1億1276万円
20年 1億9692万円 7529万円
21年 2億6012万円 1億54万円
22年 1億2313万円 4574万円
※1000円以下は切り捨て