医療機関で昨年2014年に休廃業・解散した件数は、前年比12.7%増の347件だったことが、帝国データバンクの調査結果で明らかになった。最近5年で約3倍に増加した。都市部での集中による競合、また、事業継承がうまくいかずに休廃業・解散せざるを得ない医院が件数としては増えている実態が浮かび上がる。2007年の集計開始以来で最多。
地域別では、近畿が54.5%増の34件、北海道が38.5%増の36件となった。東北、九州は減少したほか、北陸は変わらなかった。人口が多い都市部では診療所やし会員が一極集中し、競合が激化。一方で地方では、慢性的な医師不足で経営難になり、再編や身売りなどの決断を迫られて休廃業・解散件数が増加しているようだ。
◆地域別の休廃業・解散件数
14年 13年
北海道 36 26
東北 20 29
関東 74 65
北陸 16 16
中部 30 25
近畿 34 22
中国 40 30
四国 32 28
九州 65 67
◆年代別の休廃業・解散件数
2007年 121件
2008年 124件
2009年 116件
2010年 146件
2011年 263件
2012年 285件
2013年 308件
2014年 347件
昨年、休廃業・解散した医療機関の代表者の年齢が判明した230社の年代別で見ると、最も多いのが70代が62社、次いで60代が56社、80代以上が54社となっており、全体的には60代以上が74.8%となった。中には10%弱だが、40代以下もある。
開業医は診療報酬改定次第で収入が変動するものの、改定によって収入が下がった医師もいる。内実は赤字を抱える医院も少なくはない。また、今後は都市部での競争激化、さらには、地方の過疎化によって、今後も休廃業・解散件数は増加していく可能性がある。