大阪桐蔭裏金問題、金庫に常に数千万円、実力校長の私物化

 高校野球の強豪で東大・京大合格者も年間約50人輩出する、大阪桐蔭中学高校(大阪府大東市)の裏金問題で、総額は5億円以上に上り、前校長の裏給与など私的流用も数多くあったことが、学校法人大阪産業大学が設置した第三者委員会の調査結果によって明らかになった。実力者であった前校長のワンマン校長ぶりが浮かび上がっている。 

 新興の進学校がよく使うリクルート活動の費用をねん出していたことが明らかになったが、これはまだ甘かった。期間は調査不可能な20年以上にもわたり、総額は5億円に上る。そして、簿外資金は、出入り業者、保護者会の幹部らの口座も利用しながら資金を蓄積していった。

 だが、前校長は学校法人の常任理事でもあった時代に証券会社から購入した仕組み債で学校法人が多額の損失を被ったとして、責任を取る形で一昨年3月で退任した。だが、その後も教育相談役として学校法人から月額数十万円を受け取っていたことも明らかになっている。さらには、自身の子供の手にもわたっているという。

 その理由としては、校長時代よりも給与が減少したことを受けての損失補てんだという。出納の責任者でもあった前事務長が振り込みを行っている。さらに、前事務長も100万円の高級ハンドバッグを購入したり、ゴルフ代に使用するなどしていた。桐蔭中の金庫には約5200万円の現金があったという。

 同委員会は刑事告訴の検討も学校側に提示している。

 ただ、現場では把握されていたようで、大阪私学教職員組合などが学校法人に提出した書面によれば、「生徒から徴収した金銭のバックマージンの使途を明らかにすること」とされている。また、平成4年5月28日付の「大阪桐蔭高等学校教職員組合ニュース」には裏金について「生徒の教育環境向上に直接役立ててもらいたいと申し入れる予定」としている。

 一部の報道では、表の会計と、裏の会計を合わせると総額は10年で約16億円に上るというものもある。ただ、同委員会の調査に応じない職員がいたり、領収書が残っていなかったり、口座情報の古い記載がなかったり、調査に限界があったという。

 同委員会は「桐蔭の発展に寄与した●氏の発言力が大きかったためにこれらの問題が明るみになるまでにかなりの時間を要したということができ、これらの点が本件の主な原因である。
精算すべき金額は簿外取引の残額を超えることになろうが、その超える部分は●氏が補てんすべきもの」だとしている。

 さらに「大学組織を中心とする学校法人に付属する中学高校で発生した不祥事であるため、本部の監視が行き届かなかったという面も否定できない」としている。

 前校長は学校法人の理事でもあり、当時は分校扱いでしかなかった大阪桐蔭中高の創設時から校長に就任。それが、全国レベルの進学校、硬式野球部の甲子園優勝5度の強豪として、教育史上でもまれにみる大成功を収めた。そのことで反対できる人間はいなくなっていたことが、問題を招く原因となっていた。

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