米業界誌ビバレッジ・ダイジェストの調査によると、2014年の米国内の炭酸飲料水の販売が前年比0.9%減の88億ケースになったことがわかった。減少傾向は続いており、今後も苦戦を強いられそうだ。一方で、炭酸飲料と言えば、年収との関係が過去に幾度となく調査されてきたが、もう今後は関係はなくなるのだろうか?
まず、米国の炭酸飲料水離れだが、これは単純に健康志向ととらえられており、教育行政と業界との戦いがここ数年は激しく行われ、2009年から米国飲料協会は、公立小中学校での炭酸飲料水の発売を自粛しているほどだ。教育現場や行政の働きかけの影響も徐々に出てきているのではないか。
年収との相関について、米国世論調査研究所が行ったギャラップ調査によると、次のようになる。
◆年収別の炭酸飲料水の摂取状況
ダイエット、レギュラー、飲まない(%)
・3万ドル未満 20 45 36
・3万~7.49万ドル 22 34 44
・7.5万ドル以上 30 20 49
・米国成人平均 24 32 43
どの研究もほぼ、こうした結果になるが、別の研究では、低年収の家庭の子供は、高年収世帯の子供よりも、1日あたり23~27キロカロリーも多く糖分を取る(炭酸飲料を含む)傾向にあるという。
こうした研究結果を受けて、ニューヨーク市などは飲料業界と教育行政の戦いを行っていた。当局の調査では、人口あたりの糖尿病患者は、低所得者が住む地区が高所得者地区の約4倍にも達し、また、炭酸飲料水を愛飲する人が多い地区と、クーポン券(日本で言う生活保護のに相当)の分布と重なる傾向にもあったというから、行政が戦うのもわかる。
ちなみに、炭酸飲料水の大手コカコーラだが、ビル・ゲイツ氏の財団ビル&メリンダゲイツ・ファウンデーション・トラストが、同社株2142万株(9億1419万ドル分)をすべて売却するなど、時代を反映しているかのようだ。
もちろん、世界屈指の大富豪ウォーレン・バフェット氏のような例外もあるが、年収の高い、低いにかかわらず健康に留意する習慣が米国にも根付きつつあるのか。