銀座のレジェンド「秀ママ」脱税で引退 「銀座タックスヘイブン」時代の終焉

40年も銀座に君臨

 1500以上の飲食店舗がひしめきあう銀座、景気の波をいつも受けやすい業界だけに出店、退店は常の世界だが、秀ママは足掛け40年もの長きに渡って銀座の街に君臨してきた。

 「みなさんにご迷惑をおかけして、たいへん申し訳なく思います。(脱税は)二度としないと断言します。もう年齢も70歳ですし、体力も気力もありません。きっぱりと経営から身を引き、(銀座から)いっさい手を引きます」


 事実上の引退宣言を行い、あっさりとその座を手放した。脱税に手を染める一つのきっかけには、店の経営権を手に入れてママになるために多額の資金が必要であるというものもある。というのも「銀行はクラブのママを相手には融資はしてくれませんし、店を出す資金や改装費用をはじめ諸々の資金は、ママの財布から出ていますから」と、ある黒服は言う。

 秀ママも「銀行は貸してはくれませんし、自己資金がすべてです」と証言している。経営母体の会社には都市銀行の元役員を代表者に入れるなど、そうした結びつきからは言葉をそのまま受け取るわけにもいかないが、ビルのオーナーに請求することなく自身で店舗改装の資金を賄ったことも判明している。

 秀ママは、5つの運営管理会社を通して実質的に店舗の経営を行い、売上からコンサルタント料を受け取っていた。もちろん、自身の名前は会社に残さないなど用意周到だったことは言うまでもない。さらには、店のホステスの源泉徴収を申告しないという手口で2度も起訴された。

 元々、ホステスは入れ替わりが多いために、お金の出入りの確認が外部からはやりにくいというこの業態ならではの使い古された手口でもある。経理担当者に任せていたという秀ママは「税務署が来なかったので、ちゃんとやっているのだと思っていました」と証言したが、「ワンマン経営者であり、責任を転嫁した供述を真に受けることはできない」と裁判所からは見抜かれていた。

 やはり、銀座のホステスの力の源泉は金なのである。

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