アジア拠点のヘッジファンドの運用リターンは、全ヘッジファンド平均よりも約30%上回っていることが、英調査会社プレキンのレポートで明らかになった。また、欧米などの運用会社がアジアにフォーカスしたファンドよりも、アジア拠点のファンドの方がリターンが上回ってもおり、アジアの運用会社による、アジアのヘッジファンドが相対的にパフォーマンスが良いということになる。
今回は1万1650以上のヘッジファンド運用会社、2200以上の運用会社を調査の対象とした。
アジアのヘッジファンドの運用資産総額は1450億ドルで、北米2兆1980億ドル、欧州6090億ドルに次いで3番目となって存在感を増しつつある。全世界の運用総資産額の5%程度に相当する。
アジアのヘッジファンドセンターの規模で言えば、香港が最大で610億ドル、次いでオーストラリア360億ドル、シンガポール290億ドル、日本100億ドル、韓国50億ドルとなっている。
パフォーマンスだが、アジア以外からの運用会社を上回り、2年間で11.60%対7.93%、3年間で11.91%対8.88%となる。また、2009~2014年の間の単年のパフォーマンスで見ても、アジア拠点のファンドが下回ったのは2011年のみ。ひじょうに優れた成績を残していることがわかる。


◆2014年のパフォーマンス上位5ファンド
1 アルケミー・インディア・ロングターム 60.60%
2 マーチャント・コモディティ・ファンド 59.29%
3 レダート・フォーカル・ファンド 57.45%
4 アース・ベーダ・アルファ・インディア 39.09%
5 AFCアジア・フロンティアー・ファンド36.98%
◆運用資産総額上位10ファンド会社
1 プラチナム・アセット・マネジメント 豪 207億ドル 94年~
2 バリューパートナーズ 香 129億ドル 93年~
3 ヒルハウス・キャピタル シン78億ドル 05年~
4 ダイモン・アジア・キャピタル シン45億ドル 08年~
5 マッコーリー・インベストメント 豪 38億ドル 03年~
6 ミリアド・アセット・マネジメント 香 38億ドル 11年~
7 スパークス・アセット・マネジメント 韓 32億ドル 99年~
8 プライム・キャピタル・マネジメント 香 30億ドル 04年~
8 トゥーリア・キャピタル 香 30億ドル 10年~
10 オーキッド・アジア・グループ 香 28億ドル 93年~
パフォーマンスはインド株のロングが良好で、運用額はオーストラリアの会社が大きくなるというのが特徴だ。ちなみに7位のスパークスは日本の会社。
戦略別で見ると、アジア拠点のファンドは株式が62%と大半を占める。一方で、アジアにフォーカスするファンドは、株式が55%と最も高い割合を示すが、マクロが12%と2倍になる点で大きな差がある。
◆投資家(主体別)
1 退職年金 18%
2 ファンドオブファンズ 14%
3 年金基金 13%
3 アセットマネージャー 13%
5 ファミリーオフィス 11%
◆投資家(国別)
1 オーストラリア 31%
2 日本 24%
3 香港 15%
4 シンガポール 11%
5 韓国 8%
オーストラリア、日本からの資金が大きいことがわかるが、中国、インドはまだ3%という小さな割合しかない。日本は今後、年金基金が海外投資の割合を増やすために、こちらでもプレゼンスを増すのかもしれない。
また、アジアのヘッジファンドについてどのように感じているのか投資家に質問しているが、86%が信頼していると答えている。今後のアセットアロケーションについても、55%はそのままで、27%は増額するつもりだという。