東京の幽霊億ション化を暗示するロンドンの事情

世界最高のマンションが「幽霊マンション」だった

 世界最高額のマンションとしても知られる「ワンハイドパーク」。その名のとおりハイドパークを借景にしたリッチで、全76戸中では100億円以上の物件も多く、1平方フィートあたりの単価は9906ドルという世界でも最高額のマンションとなっている。


ワンハイドパーク
 実は、ここのオーナーの約8割はオフショアカンパニーで、個人名義はわずかに12戸だけだったのだ。スーパーモデルのナオミ・キャンベル夫妻、ウクライナの大富豪リナ・アクメトフ氏らが購入したことがわかっているが、ほとんどが名無しだ。世界最高のマンションが実は、「幽霊マンション」だったのだ。居住しないのなら、投資もしくは、マネロン以外に目的はまず考えられない。

 英国では、地方税(住民税)は家にも課税されることになっている。ウエストミンスター市議会が調査に乗り出したことも過去にはあり、一昨年に1件差し押さえ物件が出たこともあった。

 このように地域によっては極端な傾向も出ており、例えば、ウェストミンスター、ケンジントン、チェルシーは48%以上がオフショアカンパニーによる所有が確認されているほどだ。

 東京でもリーマンショック以降には、「チャイニーズ億ション」が目立つようになっている。2011年の東日本大震災で一旦は収まったものの、最近はより過激さを増し、六本木、湾岸、新宿などの物件を香港、BVI、西サモアなどのオフショアカンパニーで購入している場合が多い。ロンドンの現状は、日本の億ションの幽霊マンション化を暗示しているようでもある。

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