米株価と大統領選アノマリー80年の推移、今年はワースト5位

 米大統領選が行われる前年の株式市場は好調になるというアノマリーが市場には存在するが、翌2016年に大統領選を控えた今年5月8日までのS&P500のリターンは2.8%となり、過去ワースト5位となることが、米市場調査会社ビスポーク・インスティテューショナルの調査結果でわかった。

 同レポートでは、その時の相場環境にもよるため、年末まで低調かどうかはわからずまだ希望もあるとしている。あくまでアノマリーとして、過去とを比較してみたレポートという位置づけとなる。調査期間は1931年から2015年までの84年間。


1931年以降の米大統領選前年のS&P500の動き
 ちなみに、立ち上がりのワースト5の在任大統領は次のとおりとなる。
 1931年 ハーバート・フーバー(共和党)
 1935年 フランクリン・ルーズベスト(民主党)
 1939年      同
 1947年 ハリー・トルーマン(民主党)
 2015年 バラク・オバマ(民主党)

 それでは、過去のワーストを見てみると、年率でマイナスとなったのは1939年1931年の2回だけとなる。

 その立ち上がりがワースト3位で、年率でワースト1位だった1931年は、世界大恐慌の真っただ中にあり、最終的には年率マイナス47.1%となる。それまで高値を更新していた最中の1929年10月に株価の大暴落が始まり、世界大恐慌に突入した年でもあった(下図参照)。


日興アセットマネジメントより
 1931年とは逆に、ワースト4位だった1935年は、後半に盛り返して41.4%になった。この年は、ルーズベルトはニューディール政策を推し進めていた。社会保障法の成立や銀行破たんの回避のために介入するなどの策を講じており、これらの政策が利いたのだろうか。翌年の選挙では、二大政党制が始まって以来の最大の勝利を収めることになる。

 今年2015年の2.8%については、S&P500は歴史的な高値水準の上に、前年の2014年が13.7%と高水準のリターンを出した背景からの流れのリターンということになる。

 今年の位置付けが、歴史上で見ればどこにあたるのか。例えば、1929年の大暴落時は9月にはダウ工業平均株価は最高値381.17をつけており、翌10月に大暴落が起きる。ダウは結局、1932年7月に41.22まで下げ続けたが、高値という共通点から考えればここかもしれない。 

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