米ハーバード大は3日、著名ヘッジファンドマネージャーのジョン・ポールソン氏(59)が学術研究への貢献のため私財から現金4億ドル(約497億円)の寄付を受けたと発表した。この金額は、同大学史上で最高額となる。
4億ドルは、学生の教育サポートのほか、研究費の助成、新施設の建設などに充てられるという。ポールソン氏は、寄付目的について「SEASはハーバード大学の次代のフロンティアになると思う。寄付額は大きいかもしれないが、しかし、SEASへの期待や必要性はさらに大きなものだ」と、語っており、大きな期待を寄せていることがわかる。
ポールソン氏は、ハーバードビジネススクールのOB。1980年に卒業し、1994年に自身の
ヘッジファンド運用会社ポールソン&カンパニーを創業している。2007年には、サブプライムローンを端緒とした不動産市場の崩壊を読み切ってCDSを中心とした取引で、150億ドルの利益を出し、業界で有数のヘッジファンド運用者となっている。
そのポールソン氏が受けたであろう寄付は、昨年の米著名ヘッジファンドマネージャーのケン・グリフィン氏であないか。奨学金としてハーバードに1億5000万ドルを寄贈している。グリフィン氏もハーバードOBであるが、昨年の業界の報酬ランキングで初の1位にも輝いている。先輩として、寄付額は負けられないとの意地も少しはあったろうか。
ハーバードは昨年、香港の不動産開発会社ハンルン・グループの陳楽宗、陳啓宗の兄弟の財団から3億5000万ドルの寄付を受けたのが、これまでの最高額だった。公衆衛生部門に寄贈し、ハーバード大学公衆衛生THチャン·スクールという名前が冠された。また、不動産デベロッパー「SOHO中国」の張欣氏夫妻から、中国人留学生の奨学金として1500万ドルが寄贈された。
寄付が高額化している理由は二つあり、その一つには、競争原理が働いていることはあるだろう。名前が残るためには一度に高額な寄付をする方がインパクトが強いからだ。今後も競争でさらに高い金額が動く可能性はある。
もうひとつは、ハーバードなどトップ校が寄付のキャンペーンを必死で展開していること。2012年まで寄付額トップだったハーバードも13年はスタンフォードにその座を明け渡している。各大学の激しい寄付獲得合戦は続いている。