東京圏高齢者、お金がないと「死に場所」は選べない時代が到来か

 「日本創成会議」(座長・増田寛也元総務相)の首都圏問題検討分科会が、関東1都3県の東京圏高齢者について、2025年の介護需要が現在よりも45%増加して約172万人に上るという試算を発表した。これは、全国平均の32%増を大きく上回るもので、医療施設、福祉施設と人員のミスマッチが起きることを懸念し、東京圏高齢者の地方移住を積極的に提言。今後の医療福祉関連費用の負担が増加が予想できる中で、終の棲家をどこにするか、金次第ということも言えそうだ。

 日本創成会議によると、厚生労働省の統計をもとにして将来人口で推計し、今後10年で2025年までに介護サービス利用者が東京圏で45%増加。介護利用者数は全国で168万人となるという。そして、具体的に移住候補地として、医療・介護に余力があるとされる全国41地域を挙げている。その一方で、介護業界の人材は90万人以上が不足するという。

 この推計データの公表によって、一般にもかなりの危機感は伝わっただろう。同会議が前回行った消滅可能性都市くらいのインパクトはあったに違いない。ただ、すでに富裕層や自治体は動き出しているという面はある。

 たとえば、消滅可能性都市に東京23区で唯一選ばれるという不名誉な区となった東京・豊島区。こちらは、すでに千葉県富津市に特養施設の建設を検討しすでに動き出している。民間調査による住みたい駅ランキングで上位に顔を出す池袋を抱えるが、少子高齢化は深刻化。すでに図書館などの区有地を特養に提供するなどしてきたが、用地取得の難しさと、500人以上の待機者がいることから、こうした自治体を超えた取り組みを行うようになっている。

 また、東京・杉並区でも、静岡県南伊豆町と共同で特別養護老人ホームの建設を計画。こちらも待機高齢者を減らすことができる上に、建設と運営は現地の民間事業者が担当することで雇用も生みだすことができるなど、お互いのメリットを共有することができる。


 一方で、事業者側からは見れば、東京圏はチャンスと捉える向きもある。朝日新聞の独自調査によれば、東京都内に2000年以降にできた特別養護法人ホーム施設40のうち、33が東京都以外からの進出だったという。これは、すでに地方と東京圏との需給のミスマッチが起きていることを示す例でもある。

 東京23区をはじめ、地方でも県庁所在地の都市部にはタワーマンションの建設が進んでいるが、実はここでも相続目当てだけではなく、利便性を求めて購入を検討する高齢者も多いのだという。クリニックなどの病院、スーパーなどの買い物施設も建物内に入っているところが多いためだという。また、階段の上り下り、家のメンテナンスなど煩わしいことも、タワマン入居を検討する要因だという。ただ、フロー収入がなくなってからも、生活費用がかかるために、こちらはシニア富裕層にかぎった話ではあるだろう。

 地方移住を強制移住として行うまではいかないまでも、少々乱暴な話ではある。ただ、自分自身で人の手を借りずに自衛できるかどうかは各人が考えておかなければならない課題。今後は厳しい財政の中で負担増は既定路線でもあり、「死に場所」は金次第にならないとは限らないか。日本創成会議の今回の発表は、その意識付けにもなるだろう。

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