空き家でもインカムリターンは可能となるか? 空き家の固定資産税の優遇策などが廃止となる「空き家対策特別措置法」が施行され、実質的な増税策だと解釈する向きも多いが、中には外国人観光客に貸し出すなどの対策を取る動きも出ている。ただ、旅館業法などの縛りもあり、特区以外には展開できなかったが、自民党規制改革推進委員会が規制緩和案をまとめて政府に提出するという。
この規制緩和の提言は、読売新聞によれば、自宅で旅行客を有料で宿泊させることを特区以外でも可能とすることで、観光振興と地域創成を同時にあと押ししようというものだという。まとめた提案は近く政府に提出する方針だという。
現在、全国の各自治体も、売却やリフォームなど再活用策を民間と協議する動きが出ている。オーナー側としては、大量に売り物が出る前に買い手が現れるならば一刻も早く売りたいという人も多いのではないか。
ただ、宿泊用となってうまく回していくことができるなら、インカムでリターンも出るようになる。すでに、東京の千代田区、中央区、港区、渋谷区などの特区では宿泊用として貸出しする民家はある。それを、全国に広げようというものだ。
すでに、宿泊マッチングサイト「AirBnB(エアービーアンドビー)」では、日本人だけではなく、中国人が高級マンションを貸し出すなど利用する動きもあり、見直しを歓迎する向きは多いのではないだろうか。昨年は日本への外国人旅行者数は1300万人を初めて突破したが、ホテルなど宿泊施設が足りない地方もある。
たとえば、京都では高級ホテルの開業ラッシュとなったが、景観条例などの制限が厳しく数は充足できていない。ただ、京都市街には約4万8000軒の町屋が残存しており、そのうちの10%が空き家であることが京都市による2010年の実態調査で判明している。所有者は高齢者が多く、さらに維持改修費用もばかにならない。さらには、建築制限から建て替えが困難であることからも、こうした動きは歓迎されるのではないか。
空き家対策特別措置法による空き家の定義とは、1年間を通して使用実績・居住実態がないと判断されるもの。各自治体の判断で取り壊しも可能となる。