日本の富裕層人口、中国の3分の1に

◆オンショア回帰の流れも
 世界のオフショアセンターの総資産は、対前年比7%増の10兆ドルとなった。現在でも、スイスがいまだ世界最大のオフショアセンターで、海外からスイスに越境してきた資金の資金総額は2兆4000億ドルとなる。これは世界全体のオフショア資産の4分の1を占める額でもある。

スイス 2.4兆ドル
カリブ諸国(パナマなど) 1.3兆ドル
チャネル島 1.2兆ドル
英国 1.1兆ドル
シンガポール 1.0兆ドル
米国 0.7兆ドル
ルクセンブルク 0.6兆ドル
香港 0.5兆ドル

 ただし、過去5年間の伸びで言うならば、香港9.3%、シンガポール8.8%と
アジアの伸びが大きく、スイスの4.5%を大きく上回っている。今後のスイスの地位低下は十分に考えられる。

 同じ欧州では実は税率が高いはずの英国の人気が高まっていることは見逃せない。
特にロンドン中心街の高級不動産でよく見られているが、英税務当局(FSA)の
調査結果によれば、4万件にも上る不動産取引がマネーロンダリングに使用された
という。政治的、経済的に安定している点などが評価されているようだ。ウェストミンスター、チェルシーなどは48%がオフショアカンパニーが所有者となっているという実態もある。

 ここに名前が挙がっていない中にも、規模は小さいもののアラブ首長国連邦のドバイが年率8%でオフショア資産が増加しているという。中東の金融センターとしての地位を確立していることもあり、将来的に存在感を示していくだろう。

 ただ、このレポートで触れられている点で一つ気にかかるのは、OECD諸国の税務当局を中心にオフショア資金の捕捉に躍起となっており、資金がオフショアからオンショアに戻る動きが出ている、としている。国際的な監視体制の下で、その可能性は十分にある。

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