トヨタAA型種類株 集中投資は総合課税に注意

 トヨタ自動車が種類株「第1回AA型種類株」の発行を株主総会で決議し、制限は多いが同社が倒産しないかぎりは「元本を保証」するということもあって個人投資家向けに話題となっている。だが、受取額が10万円を超えてくる場合は総合課税になるために、AA型種類株への集中投資には注意が必要だ。


 トヨタのAA型種類株は、5年間の譲渡制限と拘束されており、発行条件も普通株式の約1.3倍と割高だが、トヨタが存続するかぎりは買取保証付きという、いわゆる元本保証となっている。さらに、定期預金よりも高い利回りが付くというから、日本国内の個人投資家好みでもある。

 AA型種類株の発行上限は5000億円で、7月24日の発行を予定。価格は決定日の普通株終値の約126%~130%となる見通し。

 ただ、このAA型種類株は未上場株式。そのため、1回に受け取る配当金額が「10万円×配当計算期間の月数÷12」以下の場合は申告は不要。しかし、10万円を超えると総合課税として申告が必要となる。その場合は、税率が高くなってしまう懸念がある。


※参考 大阪市HPより

 仮にトヨタ自動車の普通株1株を8000円として、発行条件の一つである価格130%で発行価額を計算してみると、トヨタAA型種類株は1万400円となる。

1年目 0.5% 5200円
2年目 1.0% 10400円
3年目 1.5% 15600円
4年目 2.0% 20800円
5年目 2.5% 26000円
6年目以降 2.5% 26000円
※配当額はAA型種類株の株価を常に1万400円とした場合

 最低単元(100株)だけを購入していれば、まず分離課税となるのだが、複数単元株を購入すれば特に5年目以降ともなれば10万円を超えてくる人は少なくないのではないか。条件付きながら「元本保証」の上に、予定利回りに配当が達しない場合でも翌年以降で上乗せしてカバーするために、安心感はこの上ない。そのため、数千万円、1億円とまとまった資金を集中投資したくなる気持もわからなくはないが、注意が必要だろう。
※申告にあたっては税理士、税務署にご相談ください。

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