ヘッジファンド「1000億円倶楽部」570社に増加 ブリッジウォーターは資産20兆円に 

 ヘッジファンド運用会社の運用総資産額のランキングを英調査会社プレキンが集計し、ブリッジウォーター・アソシエイツが1695億ドルでトップを守り続けている。10億ドルの運用資産総額を誇るヘッジファンド運用会社は570社で、1年で63社増加した。一方、英有力ファンドのブルー・クレストは、共同設立者の仲間割れで独立し資産が流出してランキングから漏れた。

 運用資産総額10億ドル以上は、ヘッジファンド業界の一流の基準でもあるが、全570社で、資産規模別の内訳は次のようになる。また、運用資産総額上位の運用会社は次のようになる。

10億~49億ドル 418社
50億~99億ドル 89社
100億~199億ドル 42社
200億ドル~    22社

1 ブリッジウォーター・アソシエイツ    1695億ドル
2 AQLキャピタル・マネジメント     649億ドル
3 マン・インベストメンツ         500億ドル
4 オクジフ・キャピタル          472億ドル
5 スタンダード・ライフ・インベストメンツ 353億ドル
6 ブラックロック・オルタナティブ・インベスターズ 318億ドル
7 ウィントン・キャピタル・マネージメント 311億ドル
8 バイキング・グローバル・インベスターズ 303億ドル
9 ミレニアム・マネージメント       292億ドル 
10 ローン・パイン・キャピタル       290億ドル


レイモンド・ダリオ氏(公式サイトより)
 1位のブリッジ・ウォーターの運用資産総額は20兆円を超える途方もないものだが、米投資調査会社LCHインベストメンツの調査では、運用スタートから昨年末までに417億ドルのリターンを上げている。1975年にレイモンド・ダリオ氏が創立した。

 このランキングの集計時点の昨年12月ではブリッジウォーターの資産は1540億ドルだったものの、今年2015年3月時点では約1700億ドルに増加した。スイス中銀がユーロとの為替上限を撤廃した際にもプラスで乗り切るなどしている。

 最も大きく変動したのが3位のマン・インベストメンツで、昨年末の280億ドルから500億ドルまで増加。ブルー・クレストは、共同設立者の一人のレダ・ブラガ氏がブルー・トレンドで独立し、200億ドルがすっぽりと抜けて運用資産総額は大幅に減少している。

 採用している運用戦略だが、200億ドル以上の規模になると、エクイティの割合が減少しマルチかマクロが多くなる傾向にある。一般的に、マルチは複数の戦略の組み合わせで、マクロは先行きのファンダメンタル分析から、成長が見込まれる地域の投資対象に資金をつぎ込むもの。



 ブリッジウォーターはマクロ戦略採用のファンドでは2つの世界最大のファンドを運用している。マクロ戦略の昨年5月から今年4月までの1年間で平均リターンは11.65%で、他の戦略平均の7.13%を上回っている。


◆マクロ戦略運用(資産規模)
1 ブリッジウォーター・オールウェザー・ストラテジー  775億ドル
2 ブリッジウォーター・ピュア・アルファ・ストラテジー 723億ドル
3 ブレバン・ハワード・マスター・ファンド       258億ドル
4 チューダー・BVI・グローバル・ポートフォリオ   102億ドル
5 ブルークレスト・キャピタル・インターナショナル   94億ドル

 10億ドル以上のファンドの顧客だが公的年金基金が25%で最も多く、SWF16%と続く。その公的年金基金だが昨年2014年は、米国最大の公的年金基金、CalPERS(カリフォルニア州職員退職年金基金)、オランダ国内2位の年金基金PFZW(オランダ公務員年金基金)が、ヘッジファンドからの資金引き揚げを決定した。

 両年金基金ともに、ヘッジファンド投資においては先駆者的な存在だが、運用リターンとフィーを天秤にかけて見直すことになった。昨年はS&P500指数が13.7%に対して、ヘッジファンド指数HFRが3.7%と、10%の大差がついており、ヘッジファンド受難の時代でもある。しかし、10億ドル倶楽部はしっかりと拡大を続けている。

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