サウジアラビア王室出身の大富豪アルワリード・ビン・タラール王子が、個人資産の320億ドル(約3兆9500億円)の全資産を慈善事業に寄付することがわかった。王子自身が理事長を務める個人の慈善財団「Trustees of the Alwaleed Philanthropies」が1日発表した。「境界を越えた人類すべてに対するコミットメントです」とコメントし、文化理解を促進するコミュニティを開発し、女性の地位向上、青少年の健全育成、災害援助などに振り分ける方針だという。
王子は「わたしは過去35年間、自分の情熱と献身に基づいて慈善事業を行ってきた。いま、疫病の根絶や健康増進などを通して貧しい地域社会を支援し、異文化の理解を、災害救援、女性や若者の貧困を緩和する力を育てたいために、アルワリード慈善財団に資産のすべてを寄付したい」としている。
具体的な計画や資金配分は今後数年間で事業計画をしっかりと策定し、王子の死後に事業計画に基づいて使われていくという。その資金の管理・監督を理事会が行っていく。
王子は王族出身ながら、3万ドルの種銭から投資を始めたことで知られ、現在の320億ドルの資産を築き上げた世界有数の投資家。日ごとの資産額を公開するブルームバーグビリオネアインデックスの1日付けランキングによると、世界で20位の大富豪となっている。
自身の投資会社キングダム・ホールディングスは中東最大の投資会社で、米国でも外国人機関投資家としては最大だとされている。同社を通じて、フォーシーズンズホテル、シティグループ、ツイッターなどに投資してきた。
これまでにもサウジ国内では10万以上に住宅を提供したり、アフガニスタンで女性の政治参加を支援したり、ハーバード大、ケンブリッジ大、カイロ大や、ルーブル美術館などにも文化振興として資金を提供している。また、ビル・ゲイツ氏の財団に、ポリオワクチン開発支援金として3000万ドルを提供してもいる。