中国人富裕層が日本国内のタワーマンションの部屋をホテル代わりに旅行者に貸し出すなどしている問題で、東京・江東区の構想タワーマンション「ブリリアマーレ有明」の理事会は、専有部の個人貸し出しを禁止する規定を追加したことを呼び掛けている。今後は、資産価値を大事にしたい億ションなどが追随し拡大していきそうだ。
理事会公式ブログによると、「シェアハウスを含めた専有部の個人貸出を管理上の危機と考え、管理規約第12条第4項~7項通称『シェアハウス規定』を追加しました」としている。
ブリリアマーレ有明は、江東区有明1丁目に立地する、33階建て1085戸の超高層タワーマンション。米著名アーティストのマドンナさんがTVCMに起用され、プール、バーなどの豪華な共用施設があることでも知られる。
それを手軽にしたのが、「Airbnb」(エアービー&ビー)という名の空き部屋オーナーと旅行者を仲介するサイトで、すでに年間500万円以上も稼ぐ個人が現れているという。米WSJの報道によれば、同社の2015年の売上高見通しは9億ドルで、評価額は255億ドルに達しているという。
ゲストルームなどの共用施設を占拠したことも問題視されたが、今度は専有部分を貸し出すようになった。それがより手軽になり、中国人富裕層にとっては売却するまでの間に半自動的に旅行者に貸しておくには、便利なサービスだ。また、サイトの特徴としては連泊も可能であり、旅行者のメリットも大きいという。今年の元旦に同サイトを経由して東京で宿泊した人の数は約6000人に上るという。
理事会は「管理上の危機」とまで言及しているが、「豪華な共用部を持つマンションにおいて、ルールを知らない見知らぬ人が多数利用するようににあるとたちまち共用部分の使用が荒れて区分所有者の資産価値を棄損します」としており、同サイトなどを通じての外部への貸出や利用を見つけた場合は、防災センターへの通報を呼び掛けている。
2014年の日本への外国人旅行者数は1341万人を突破し過去最高を記録した(国土交通省)。そのせいもあり、全国的にホテルの客室需要がひっ迫しており、東京都内ではさらに輪をかけるように需要が高い。そのため全国には民家を宿泊施設として認める特区がいくつか設定されており、東京都内では千代田区、中央区、港区、渋谷区などの都心部も該当する。