金は逃がした、後は身を逃がすだけ、ギリシャ富裕層のパスポート申請急増

 ギリシャの富裕層のパスポート申請件数が急増していることがわかった。債務危機から将来を不安視して、資産課税など自らに跳ね返ってくる増税政策の可能性を考え嫌気が差しているのかもしれない。実は、銀行の預金流出を見れば富裕層が多く住む高級住宅街の預金額の引き出しが続いており、金はすでに海外に逃避させており、最後は身を逃がす準備を整えているということか。

 富裕層のパスポート申請件数については、米WSJがギリシアの大手紙カシメリニを引用して伝えているもの。国民投票が行われた現地時間5日以降の一週間で前年の同じ週に比べて50%増加したという。

 件数の最も大きく増加したエリアが、アテネ郊外の南部、北部だという。ここには富裕層が数多く暮らす国内屈指の高級住宅街キフィシアもちょうど含まれている。合わせて預金額も見てみるが、ギリシャの中央銀行の過去統計によると、アテネ地区の預金額の推移は次のようになる。

2014年 697億ユーロ
2013年 719億ユーロ
2012年 712億ユーロ
2011年 778億ユーロ
2010年 934億ユーロ
※それぞれ年末の預金額

 富裕層が数多く住むキフィシア地区があるアテネでは、4年間で25%以上も預金が引き出されており、前回の危機以降は段階的に引き出されてきたことがわかる。ちなみに、キフィシアは国民投票の緊縮財政案には賛成が64%と高かったそうだ。

 また、口座数に大きな変化はないが、増加はなく徐々に減少していることがわかる。
2014年 1091万
2013年 1115万
2012年 1118万

英ザ・ガーディアンが紹介している匿名のベテランバンカーの声がその事実を裏付けるかのようだ。「2010年から2012年の間に800億ユーロ(10.9兆円)の預金が海外に流出しているが、そのうちの200億ユーロ(2.7兆円)が富裕層のものだ」と証言している。

 金はすでに海外に移し終えた感のあるギリシャ富裕層、あとは身を移すだけということか?

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