プライベートジェット界のウーバー、あるいはネットフリックスとも呼べる専用アプリサービス「ジェットスマーター」がこのたび、サウジアラビア王族の投資家と、著名HIPHOPアーティストのジェイZさんから新たに2000万ドルの出資を受けたことを発表した。所有に伴う手続きなど時間的な、またメンテナンスなど費用の制約を回避できるというメリットがあり、会員は月額800ドルでプライベートジェット乗り放題だ。さらには今年に入ってから、月額2000ドルで競合他社「ビーコン」も出現し750万ドルの新たな出資を受け、課金型のアプリUbair、Victorも健在で今後注目されるサービスとなりそうだ。
近年の米スーパーボウルなど世界的イベントの際には、近くの空港はまるで「プライベートジェット祭り」というかのような光景が広がる。それだけ超富裕層の足代わりとなっており、仕事、セカンドハウスなどへの移動も日常的で、PJの運行本数が多い路線ほど高級不動産の価格があるという調査結果も出ているほどだ。
◆参考:超富裕層向け住宅価格とプライベートジェット環境
そして、今年になってからは、航空業界やサービス業界出身のウェイド・イヤリー、コーリー・コジーンズ、ライアン・マーレーの3氏がビーコンを立ち上げた。このたび、VCロムルスキャピタルなどからシリーズAファイナンシングで750万ドルを調達している。こちらは、月額2000ドルで、NY、ハンプトン、ボストンなど米東海岸の路線が主力となっている。
費用頻度が高い人ほど安いと感じるはずだ。例えば、最高峰クラスのガルフストリーム650であれば機体の購入価格は60億円以上、年間の維持費は約2億円~3億円(機種などによって変動)となるため、路線は限定的ではあるものの、こうしたジェットスマーター、ビーコンの2社のサービスはかなり安いと言えるだろう。
富裕層向けサービスも、アプリで数タッチの時代が訪れている。
一方で、日本のプライベートジェット環境だが、国交省のレポートによると、保有数は米国1万9153台に対して、日本62台。中国157台だった(2011年時点)。また、過去に日本発着を回避せざるを得なかった経験を、海外のビジネス航空活動に携わる事業関係者に聞いているが、「ある」という回答は59%にも上っている。現在、日本国内は成田、羽田、名古屋に専用ターミナルを設置している。