ファーストクラスへのアップグレードで使う最も多い理由が「社長と友人」

 英航空会社大手ヴァージンアトランティックは、ファーストクラス席へのアップグレードの際に乗客が最も多く使う理由として、創業者で大富豪リチャード・ブランソン氏と友人だという有り得ないものであることが、公表された調査結果によって明らかになった。
 


リチャード・ブランソン氏(中央)
 この調査は同社の1000人以上の客室乗務員と地上職を対象に聞いたもので、実際に拾った声を紹介している。様々なタイプの声があるが、一部を紹介すると次のようなものだ。
 
・失恋男性 誕生日に失恋して心の傷をいやしたい
・疲れた父親 妻が妊娠中で子供を寝かしつけたいので 
・会社員 上司がプレミアムに乗っているが、自分はエコノミーなのでアップグレードしてほしい
・起業家 ある起業家はブランソン氏に会った時にアップグレードを約束してくれた

 これらは以前からあったというが、さらに最近は別の新たな要素が加わっていることに気がついたのだという。

1 自身の誕生日
2 ブランソン氏と友人である
3 新婚旅行に行く

 特に要注意なのが、2の「ブランソン氏と友人である」というものだ。当然ながら、こんなものを認めていてはサービスは成り立つはずがなく、ヴァージンはこんな理由で「アップグレードは認めていない」と毅然としている。ちなみに、この調査は初めてではなく、2010年に同様の調査を行っており、社長の友人という理由が出てきていることを確認している。アップグレードの価格は次のとおり。

・エコノミー ⇒ プレミアムエコノミー 299ポンド
・エコノミー ⇒ アッパークラス    1299ポンド

 ブランソン氏と友人だという人脈自慢をする人は、「ダニング=クルーガー効果」を知っているだろうか。コーネル大学のデビッド・ダニング教授と、助手ジャスティン・クルーガー氏による研究で、2000年イグ・ノーベル賞の心理学賞を受賞している。

 簡単に言うならば、自己評価の認知にバイアスがあり、無能な人ほど自身を過大評価したり大きく見せたがる傾向が強いということ。人脈を盛って一種のセルフブランディングをしている、いわゆる痛い人だ。もちろん、カードのマイレージポイントを使うなど正当な手段でのアップグレードであれば何ら問題ないが。

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