タワーマンション節税も風前の灯か、国税庁が規制に動く?

◆タワーマンションだけの規制では不公平の声も◆
 「3年以内」という表現が出たが、非上場企業が3年以内に取得した不動産を対象に相続評価額ではなく、取引額で相続が行われていることに言及したものだ。現在、未上場株式の相続評価を行う際には、課税前3年以内に取得した不動産は取引価格で行われており、税理士業界では一般的に、こちらの考え方に統一しても良いのではないかという意見は多いという。

 その方が税理士実務としても、分かりやすいだろう。


 また当然ながら、制度改正によって上顧客を奪われるのかどうかがかかる不動産業界も動向には、強い興味・関心を持っている。タワーマンションの売り場も担当した経験のある大手不動産会社中堅社員は「タワーマンションだけに限らず、相続評価額を下げる方法は他にもあります。ローンを組んで購入したり、そんなことは当たり前のように行われていますし、タワーだけを規制するのは個人的には大いに問題があると思います」と話す。

 そもそもタワーマンションとは建築基準法では高さ60メートル以上の建物を「超高層建築物」と呼ぶ。大手デベロッパーの間では、20階建て以上のマンションをタワーマンションと一般的に呼んでいる。現在は港区などの都心部、中央区などの湾岸部に多く立地するが、これは、1997年の容積率上限緩和による。かつては埼玉県など郊外型だったが、緩和によって都心回帰が進む要因の一つとなった。そこで、一つの矛盾点を見つけ出していたのが、一部の税理士や富裕層たちだった。

 現在では一般的な手法となったが、ゆかしメディアでは過去にも何度かタワーマンション節税について取り上げたように◆六本木ヒルズもダメ? 「タワーマンション節税」の罠◆のような否決事例も多くある。

 六本木ヒルズレジデンス30階の約100平方メートルの区分を約3億円で購入。父親の死後すぐに、ほぼ買値と同額で売却。相続税法22条に基づいて相続評価額は約5800万円だと申告(土地:4118万1124円、 建物:1683万7100円)とかなりの資産圧縮に成功している。

 ただ、実はこのケースは過少申告以前の問題として、購入の翌日には不動産会社と一般媒介契約を締結しており、完全に課税逃れであることは明白だった。

 たくさんある節税方法の中から、タワーマンションだけが規制にはなじまないだろう。しかし、国税庁も忸怩たる思いであることは察することはできる。何らかの対策は検討しているのではないだろうか。 

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