マイナンバー制で本当に怖いのは「副業の会社バレ」ではなく「税務署バレ」

 日本に住所のある人に個人番号が振り分けられ、税と社会保障などの個人情報をむすびつけたマイナンバー法が10月5日施行された。それぞれに12ケタの番号が記されたカードがこれから配布されるが、特にこの制度はホステスら副業を持つ人々に緊張感が高まっていると言われている。しかし「会社に副業がバレる」という声が大きいようだが、実は「税務署にバレる」方がもっと深刻で戦々恐々とするホステスもいるようだ。


 そもそもマイナンバー制度は、名前を知っていても内容を知らないなど国民全体の認知度や理解度はイマイチ。クロス・マーケティングの調査によると、全国の15~79歳の男女を対象としたマイナンバー制度の調査では、内容まで認知していると人は60.2%だが、認知している内容は基本的情報がほとんどで理解度は低めで、個人情報の取り扱いに対しては警戒心・不安感も強いとしている。

 内閣官房によると、マイナンバー制の利点として、【1】公平・公正な社会の実現【2】国民の利便性の向上【3】行政の効率化、という三つを挙げている。簡単に言えば色々な個人情報がつながって筒抜けになる、ということでもある。

 それで内緒で行われている仕事の代表的なもののひとつとして、キャバクラや風俗などについての報道が目立ち、「副業が会社にバレる」というように取り上げられている例がよくある。

 市区町村から勤務先に住民税の請求が届くのだが、会社の給与水準よりもかなり多くなってしまう人は、まず経理担当者に知られてしまうことになる。今後はこれが嫌ならば、「普通徴収」といい、自分で納める方法を選択することで、会社に知られるのは防ぐことはできるようになる。

 ただし、最も恐怖に震えているのは、これまでにキャバクラなどで多額の現金を稼いだ人たちではないだろうか。というのも、現行法上は7年間までは遡って調査対象になるために、調べられれば、相当な「溜まり」が見つかってしまうことも十分に考えられるからだ。

 銀座ホステスAさん(30代)は「新聞に『副業がバレる』という報道がよく出ているので、うちも半分以上は副業の子ですし、それが会社に知られてしまうと聞いて悩んでいる子はたくさんいます。でも、ベテランは別の意味で怖がっています。ママからは、今までの分も調べられる可能性がある、と言っていたからです」という。

 数十万円などというレベルはかわいいものだろうが、少なくとも年間●●●万円というような場合は要注意だろう。実際の夜の街では、【1】ウソの名前で登録【2】給与は現金手渡し【3】関係者と口裏合わせなどの防御策が取られている。そもそも水商売では、すべての人が本当の名前で申告しているわけではないことも常識でもある。

 しかし、今後はそうしたお金に色が付いていないことをいいことに常態化してきたディフェンステクニックも無力化されるかもしれない。マイナンバー制度は加えて銀行など金融機関の口座とのひもづけも行われるために、昼間の収入と分不相応な金額が貯まっている場合には、当然ながら疑われることにもなるだろう。

 会社に知られることを心配するよりも、税務署に知られることを心配した方が良いだろう。

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