株式市場でどの時間帯にトレードすれば、最も良いパフォーマンスを得ることができるのか、という疑問を解決するS&P500を使った一つのデータが公開された。主に取引開始からの1時間と、大引け前の1時間がかつてのゴールデンタイムであったが、今年に入ってからはそうでもないという傾向の変化が表れている。※時間は米東部時間
このデータは米調査会社ビスポークが、S&P500を指標に100ドルを投資したとした前提でパフォーマンスを表した。まずブルマーケットが始まった2009年からのグラフを見れば、ひとつだけ突出した時間帯がある。もちろん、全時間帯ともに100を超えているのだが、10時までの朝最も早い時間帯が最も優れた成績になっている。
◆2009年~
~10 163
10~11 116
11~12 103
12~13 111
13~14 111
14~15 108
15~16 114
◆2015年上半期
~10 96
10~11 105
11~12 98
12~13 96
13~14 103
14~15 102
15~16 98
2015年上半期は大雑把に見れば、どの時間帯に取引しても大きなマイナスはない。しかしながら、変調をきたしていることがわかる。目立つのは特に朝の10時までの変化だろう。ここで、163と最も稼ぐことができていたものが、マイナスになっているのだ。さらにデータの範囲を広げて1983年からのものを見ても、朝10時までは949と突出した成績をあげており、15年は明らかな変調が出ていることがわかる。
◆1983年~
~10 949
10~11 60
11~12 77
12~13 150
13~14 95
14~15 102
15~16 882
ビスポークは、ミューチュアルファンドなど機関投資家が朝10時までに多くの取引を行っていると分析。つまり、上昇相場では買いがこの時間帯に集まりやすいということか。
世界的には朝の取引開始後と、大引け前に取引の山ができて集中しやすい傾向にある。例えば米NY証券取引所のダウ構成27銘柄の場合なら、取引開始直後の15分で17%、取引終了前の15分で15.4%(14年4月、大和総研より)が集中しているという。この30分間だけで、実に1日のうち三分の一を占めていることがわかる。
現代は特にHFT(超高頻度取引)が市場で存在感を高めていることもあるか。東京証券取引所におけるHFTが占める割合は、日銀のレポートによると4割以上を占めるとされている。米国は6割以上ともされる。株価への影響としては、小刻みなトレードを行うために、ボラティリティを抑制する効果があるとされているが、ただし、実際には大きなショックが起きるような相場の急変時には下げ幅を大きくしているという指摘もある。
2015年は単純な上昇相場ではないことを示すものとも言うことができるが、朝一番は要注意で、今は、朝は一息ついてから取引した方がよいということか。