厚生労働省が4日発表した2014年度の病院や診療所の経営状況を調べた「医療経済実態調査」の結果によると、一般病院の施設当たり平均赤字額は1億1778万円となり、一昨年度の6191万円から約2倍と大きく拡大した。平均年収では、一般病病院(国立)の病院長が8.4%増の1933万円となった一方で、医療法人の医師、個人の医師は下げた。厚労相の諮問機関である、中央社会保険医療協議会に提出した。
同調査は、2年に1度の診療報酬改定の基礎データを集めるために実施しており、社会保険診療報酬に関する基礎資料を整備することを目的にしている。全国の病院1365、一般診療所1637、歯科診療所585、保険薬局911などから有効回答を得た。
全体的に一般病院では、民間が黒字運営を維持できているものの、国立、公立はともに赤字となった。個人も黒字は減少しているものの黒字運営が続いている。また、保険薬局も黒字運営で、とくに店舗数が増えるほどその傾向が強かった。
◆病院ごとの損益
医療法人 +3798万円
国立 -1948万円
公立 -5億8141万円
社福 -2424万円
その他 -7792万円
個人 +5496万円
全体 -1億1778万円
国民医療費は粘土で40兆円を突破しており、病床数を20万人分減少させる、ジェネリック薬品を使用するなど様々な医療費削減策が打ち出されている。損益が最も悪い公立病院については、不採算性はこれまでにも議論の的にもなってきたが、累積赤字も解消できないでいる。特に採算性が合わないのは救急部門だが、これは、民間病院とは違い、廃止に踏み切れない場合も多い。
病院の形態ごとの医師1人あたり平均給与、賞与とその合計は次のようになる。
◆一般病院(国立)
平均給与 賞与 合計 対前々年比
病院長 1386万円 547万円 1933万円 8.4%
医師 1163万円 261万円 1425万円 1.9%
歯科医 1241万円 322万円 1563万円 5.4%
◆一般病院(公立)
病院長 1721万円 347万円 2069万円 0.9%
医師 1279万円 214万円 1494万円 1.0%
歯科医 1133万円 212万円 1346万円 0.6%
◆医療法人
病院長 2885万円 44万円 2930万円 0.1%
医師 1466万円 78万円 1544万円 -2.1%
歯科医 897万円 47万円 944万円 ー0.2%
◆個人
医師 1370万円 64万円 1435万円 ー5.9%