アマゾン株買い増しに賭けるヘッジファンド カリスマもアマゾン推しに

 ヘッジファンド運用会社各社の第3四半期の当局への届け出が公開され、金融、通信などのセクターが売られ、新たにアマゾン株が注目を集めていることがわかった。特にクラウドサービスの「AWS」(アマゾン・ウェブ・サービシーズ)事業が希望から現実的に利益が出たことが大きい。株式保有額上位10社で、新たにアマゾンをポジションに加えた、もしくは買い増しした金額は25億8300万ドルとなった。

 S&Pキャピタルによると、上位10社は前期の全株式保有額が合計2000億ドルだが、第3四半期は1910億ドルと減らしている。同様に銘柄数も471から441としている。

 そんな中で買い増しが行われているのがアマゾン。第2、第3四半期と2期連続の黒字となったが、注目を集めている事業AWSは今年9カ月間の売上高は約54億ドルで、営業利益は11億7700万ドル。AWSについては市場はまだ暗い見方をしていたものの、売上高は前四半期よりも約5割の増加ということで、ビッグサプライズとなった。まだ、アマゾン全体の売り上げに対する比率は低いものの、クラウドサービスとしては収益力がひじょうに高く、現段階では営業利益ではかなりの貢献度であり、さらに今後はこの分野でのシェアを握ると予想される。




 特にIT銘柄投資の雄であるタイガーグローバルは、第2四半期の74万株(3億2426万ドル)から、第3四半期には319万株(16億ドル)にまで買い増しを行っている。

 10社の中には入っていないが、現役引退後も市場に的確なメッセージを発信し続けているスタンレー・ドラッケンミラー氏のファミリーオフィスとなっているデュケーヌ・キャピタルもアマゾン株9万7300株(4980万ドル)を新たに保有して注目が集まっている。一方で、金融株と中国のアリババHDを売却している。

 クレイディスイスが集計したヘッジファンドの戦略別の10月の月次成績では、全体の平均であるブロードインデックスが0.53%とプラスに転換した。ただ、8月、9月と夏場は好調だったショート戦略が反動で大きなマイナスになるなど、特に全体を引っ張るものもなく弱い動きとなった。

◆戦略別インデックス(10月リターン、9月リターン、2015年年初来リターン)
アービトラージ          0.53% -0.25%  2.35%  
ショートバイアス        -5.59%  4.79%  0.99%
エマージングマーケット      2.75% -0.80% -0.25%
エクイティマーケットニュートラル-0.59%  0.62%  1.13%
イベントドリブン         0.14% -3.44% -3.93%
 ディストレス         -0.30% -1.37% -3.89%
 マルチストラテジー      0.31% -4.22% -3.93%
 リスクアービトラージ     -0.01% -1.31% -0.40%
フィクスドインカムアービトラージ-0.20% -0.45%  0.36%
グローバルマクロ         1.29% -1.57%  0.85%
株式ロング&ショート        1.72% -1.12%  3.69%
マネージドフューチャーズ    -2.48%  2.87% -2.36%
マルチストラテジー        0.07% -0.43%  3.39%

ブロードインデックス       0.53% -1.41% -0.06%

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