年収2000万円は相手にするな IRS調査官に厳しいノルマ

 米国の税務調査官のノルマは厳しい。TIGTA(Treasury Inspector General for Tax Administration、米財務省税務管理監査官)がこのたび発表したレポートの中で、IRS(米内国歳入庁)の2014年の税務調査が人数あたり、時間あたりでの取り分が“ノルマ未達”であるとして、溜まりのより大きな所を狙うように計画の是正を勧告している。米IRSでは、高所得者や富裕層の調査を重点目標の一つとしてきた。しかし、高所得者の最下層である年収20万ドル~、年収40万ドル~での調査効率が悪く、今後は効率が良い年収500万ドル以上を重点的に調査していくことになりそうだ。

 1988年にロジェスキー事件というIRS職員による不祥事が発生したために、米国では意外に納税者の権利保護にはうるさい。しかし、どこの国でも調査に入って何も見つけれらない調査官はやはり無能だとみなされるのは当然か。IRSは富裕層の資産と高所得者の収入を重点調査項目の一つにしているが、2014年の調査・徴収実績が効率的ではない、という評価が下された。TIGTA(米財務省税務管理監査官)は米IRSの監督監査機関にあたる。


 IRSの部門別の担当職員数だが、「Global High Wealth」という高所得者と富裕層を担当する職員の人数は120人で、そのうち調査官は96人となっている。他部門に比べても少ないのだが、だからこそより効率よく徴収しろという是正の勧告がなされた格好だ。

 TIGTAは監査レポートの中で「富裕層と高所得者部門のカバーについては見直しが必要。高所得者のどの収入レベルでも徴収が落ちている」としている。下図は年収20万ドル以上の高所得者の調査カバー率の推移を見たものだが、2010年から2013年までは上昇したが、2014年はいずれのカテゴリーも下落している。特に1000万ドル以上での下落が目立つ。


 では、TIGTAが求める水準とはどのようなものであるかが、下図で示したものだ。表の見方は20万~40万ドル未満は、TIGTAは「リソースを最も割いている年収20万ドルから40万ドル未満で、効果がひじょうに薄い」としている。年収20万ドル~40万ドル未満を税務調査したとして、1時間あたりの成果が605ドルということになる。これが、500万ドル以上の場合は4545ドルと、7倍以上の差になっている。それに対して、調査時間を最も割いているのが、年収20万ドルだ。

 TIGTAは、高所得者の中でもより年収の高い層にリソースを重点的に配置するように是正を勧告し、IRSも受け入れたという。

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