ブルークレストが投資家の資金全額返金 「CTAの女帝」独立響く

 大手ヘッジファンド運用会社ブルークレスト・キャピタル・マネジメントは1日、投資家から預かる運用資産をすべて返還すると発表した。運用資産総額80億ドルのうち大半が外部顧客からの資金と見られ、返金後は創業者マイケル・プラット氏、親族や従業員らの個人資産分のみを運用するファミリーオフィスとなる。同社は2000年に設立され、運用15年の歴史で220億ドルの利益を叩きだしてきた。

 発表によると、返金しファミリーオフィス化する理由としては、手数料収入の減少、人材確保、システム開発などのコストの増大を挙げている。

 ブルークレストキャピタルは2000年、マイケル・プラット氏と、JPモルガン時代の同僚で現在では最も有名な女性ヘッジファンドマネージャーとなったレダ・ブラガ氏によって設立された。2003年に英大手マンが出資し、リーマンショックが起きた2008年にもプラス6%で、翌2009年には45%のリターンを上げるなどした。現在はジャージー、ジュネーブ、ロンドン、NYなど世界中に従業員570人を抱える。CTA(コモディティトレーディングアドバイザー)では世界的に有名な存在。


レダ・ブラガ氏(CNBCより)
 運用資産総額は一時は220億ドルを超えるなど、世界でも有数のヘッジファンド運用会社となった。その大きな原動力となったのが、徹底したリスク管理。プラット氏は「続・マーケットの魔術師」の中で、3%の損失で各トレーダーのポジションを切ることを徹底しているのだという。投資ではなくトレードを徹底してきた。運用資産総額が300億ドルを超えた時期もあった。

 しかし、昨年、共同創業者ブラガ氏が独立し、システマティカ・インベストメンツを設立。ブラガ氏率いるジュネーブを拠点にするシステム運用の部署100人以上、資金80億ドル以上を持っての独立だった。ブルークレスト時代同様にシステムトレードで世界中の先物市場にフォーカスするブルートレンドファンドや、ブルーマトリックスなどを運用し女性ヘッジファンドマネージャーの運用会社としては世界最大となっている。この独立で、資金や博士号取得者の大半がブラガ氏とともに流出したことも大きく響いていると見られる。

 同社には次のようなファンドがあるが、その多くを閉鎖する予定。時期は2016年1月までを目安。また、従業員向けの内部留保金を運用するファンドであるブルークレストスタッフマネージドアカウントは継続して運用していく。

・ブルークレストインターナショナル
・ブルークレストエマージングマーケッツ
・ブルークレストマルチストラテジークレジット
・ブルークレストマーカンタイル
・ブルークレストエクイティストラテジーズ
・ブルートレンドレバレッジド
・ブルートレンドクオンティテイティブエクイティ
・オールブルーファンド

 マイケル・プラット氏は「この15年間、すべての投資家に感謝したい。今後は形を変えてより強く、より柔軟に運用していくが、いままでイノベーターであり続けたように、これからも例外ではない」としている。

 近年ファミリーオフィス化した大物ヘッジファンド運用者としては、ジョージ・ソロス氏、スティーブ・コーエン氏、スタンレー・ドラッケンミラー氏らがいる。

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