F1王者ファン・マヌエル・ファンジオ氏がレースで乗るために製造された「フェラーリ290MM」が、米NYで10日行われたサザビーズRMオークションで、2805万ドル(約34億円)で落札された。事前の予想落札額2800万~3200万ドルに届いたが、予想レンジギリギリの落札となった。最近10年間、高騰し続けてきたフェラーリなどのヴィンテージカー市場だが、今年最後の大物でもあったフェラーリ290MMという象徴的存在の価格は今後のヴィンテージカー市場に影響を与えるのか。
1956年に行われたイタリアの自動車耐久レースのミッレミリアに出場した際のマシン。ファンジオ氏がレースで乗ったのはこの1回きりだったが、その後も名ドライバーたちが乗ったことでマシンはさらに箔付けされていった。レースから離れた後は、エンツォ氏の友人ルイージ・サネッティ氏、フランス人著名コレクターのピエール・バルディノン氏の手に渡り、現在は匿名のコレクターがオーナーとなっていた。
この日のオークションでは、後半戦に登場したフェラーリ290MMは、初値は1800万ドルでスタートしすぐに2000万ドルを超えてきたが、そこからは50万ドル刻みの駆け引きが続き、ようやく2800万ドルに届いた。
フェラーリのヴィンテージカーでこれまで主な高額落札車は、次のとおりとなる。
・フェラーリ250GTO(1962年) 3811万5000ドル
・フェラーリ275GTB/Cスペチアーレ(1964年) 2640万ドル
・フェラーリ375MM(1954年) 1840万ドル
・フェラーリ250GTカリフォルニアSWBスパイダー(1961年) 1683万ドル
・フェラーリ250テスタロッサ(1957年) 1639万ドル
・フェラーリ250LM(1964年)1430万ドル
ヴィンテージカー専門保険会社のハガーティ社が算出した市場インデックスは、11月が71.04。これは市場の過熱感を示す指標の一つだが、80以上が割高の目安として考えられているため、割高ではないという。夏場の株式市場の急変に影響を受けた面もある。
英不動産調査会社ナイトフランクの高級品の指標では、最近10年間でヴィンテージカーは496%上昇し、最近5年でも161%、12カ月でも18%と他のジュエリー、アート、ワインなどのカテゴリーを凌駕している。ただ、11月のクリスティーズオークションで、俳優スティーブ・マックイーン氏が映画「栄光のル・マン」(1971年)で使用した「ポルシェ911T」が、落札されずに残るという出来事があった。少し勢いをそがれるような出来事が連続しており、今後の市場動向への影響は気になるところではなる。
この日は、他に話題となっていた「1962アストンマーチンDB4GT」が1300万ドル、ジャニス・ジョップリン氏のポルシェが160万ドル、フロイド・メイウェザー氏の「2003フェラーリエンツォ」が300万ドルでそれぞれ落札されている。※一部訂正しております。