全社員にボーナス1200万円(総額160億円)支給の米大富豪 業界大不況にも負けず

 米石油会社ヒルコープ・エナジーが、従業員1350人全員に対して、それぞれ10万ドル(約1200万円)のボーナスを支払うことを決定した。支給額合計は総額1億3500万ドル(約163億円)になる大盤振る舞いとなるが、創業者は地元への寄付を欠かさず、また過去にも従業員に大盤振る舞いを行ったこともある地元の名士。フェースブック創業者マーク・ザッカーバーグ夫妻による500億ドル規模の慈善事業投入が大きな話題となったが、1人あたり1200万円という臨時ボーナスのインパクトもそれに劣らず大きい。


ジェフリー・ヒルデブラン氏 (ヒルコープ・エナジーHPより)
 ヒルコープ・エナジーは非公開企業だが知る人ぞ知る有名企業。石油最大手エクソンの技術者だったジェフリー・ヒルデブラン氏が1989年に故郷のヒューストンに設立し、現在は非公開企業では米国でも最大級の石油会社となっている。1日あたり約15万バレルの原油を生産している。ヒルデブラン氏の資産はフォーブスによると、56億ドル。2010年には12億ドルで、それから約5倍になっている。

 同社は米誌フォーチュンが選ぶミレニアル世代が最も働きやすい企業100社にも選出されており、人種、性別、年齢など以外にも性的趣向についても寛容なことを謳っている。また、2010年にも全従業員を対象にして、5万ドルの自動車の現物支給か、あるいは3万5000ドルの現金支給かと選択できるという冬のボーナス支給が行われた時にも報道された。

 ヒルデブラン氏は地元への貢献を常に大事にしており、ヒューストンの動物園や美術館などにも多額の寄付を行っている。このタイミングでの巨額ボーナスは業界の状況も反映しているのではないかと考えられる。

 エネルギー業界専門の人材会社スイフト・ワールドワイド・リソーシズによると、原油価格が下落してから世界中で約23万人が職を失っているという。その中には労働者が多くを占めるが、高学歴のエンジニアも解雇に踏み切る場合もあるといい、業界全体を暗い影が覆っていることを雇用情勢が表している。1バレル=100ドル超の時代とは環境がまったく異なっている。

 エネルギー業界は好景気の時は、大卒ではなくともベテランの作業員は年収1000万円超えはザラにいる。ただ、景気変動によるリグの閉鎖で職を失う人が出てくるのは業界の常であり、ベテランになればなるほどこうしたサイクルを何度か経験することになる。

 今回のヒルコープ・エナジーの給付学は、通常のボーナスの6倍程度にもなるというが、同業他社のみならず世界中に大きなインパクトを与えそうだ。

 過去には、英大手ヘッジファンド運用会社マーシャル・ウェイスが、2009年に全社員96人を対象に 総額5480万ユーロ(約72億円)のボーナスを支給したこともある。また、中国のパソコン大手レノボ(聯想集団有限公司)の楊元慶CEOが自身に支給される追加ボーナス300万ドル(約3億6000万円)を、同社の従業員1万人に対して支給したこともあった。

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