投資最強エルメスバーキン、35年500%で株と金を圧倒

 ハンドバッグの最高峰である「エルメス・バーキン」(Hermes Birkin)に投資した場合、米国大型株式の指標であるS&P500や、金と比較して、1980年~2015年までの35年間の長期投資のリターンで大きく上回ることが、米高級バッグオークション会社「BAG HUNTER」の調査結果で明らかになった。バーキン(14.2%)、S&P500(8.65%)、金(1.9%)というもので、35年で実に500%に。バーキン自体の価格が上昇している上に、特には昨年のオークションでは約2600万円の最高額を記録。世界中の女性が最も欲しがるハンドバッグの需要が景気要因を凌駕しているかのようだ。

 特に2008年のリーマンショック後はハイブランドのヴィンテージものが異常な高額で取引される現象が続いているが、エルメスバーキンもその例外ではなかった。バッグハンターが近年のバーキンを取り巻く環境について特徴的な項目を、次のようにまとめている。

・35年で500%
・常に供給が需要より少ない
・株式市場よりも安全なマーケット
・特にここ10年で2倍に
・2016年はさらにコレクターが増加
・世界中の女性のステータスシンボルになった
・エルメスの特別な顧客にしか売っていない



 この調査は、1980年から2015年までのバーキンと、S&P500、金の3つを投資対象として比べたものだが、年率平均14.2%とかなり秀逸なリターンで、35年間で500%、さらに最近10年では2倍という加速がついた感がある。特にマイナスの年がないという点が、株と金とは根本的に違う点で、最も信頼を置ける投資先の一つであると言ってもよいだろう。

         年率平均  最高年   最低年
S&P500      8.65%  37.20%  -36.55%

金         1.9%   14.3%   -7.9%

エルメスバーキン  14.2%  25.0%    2.1%
※バーキンは1984年から発売開始

 そのエルメスバーキンだがジャン・ルイ・デュマ氏が女優ジェーン・バーキンさんにプレゼントする前提で製作し、本人に名前の使用許諾を取って、現在でも使用を認められている。2001年には、ベーシックなバーキンの価格は4000ドルだったが、近年ではベーシックなものは1万ドルが価格となっている。強気の値付けには、ブランド側の自信がうかがえるが、需要に追いつかない以上はどうしようもない。また、さらに特別なタイプには、さらに高値がつくようになっており、近年のオークションでの主な高額取引は次のようになる。

2011年 20万3150ドル ポロサスクロコダイル
2014年 22万2000ドル ヒマラヤンバーキン
2015年 172万香港ドル バーキン


エルメス・バーキン
 最後の昨年6月の香港で行われたクリスティーズオークションのバーキンが、172万香港ドル(約2572万円)の史上最高額になっている。これは、留め具や錠に金やダイヤモンドがあしらわれているもの。現在はコンスタントに1000万円超えのバーキンが出品されており、今後もこの記録を更新する可能性は十分にある。

 昨年、米動物愛護団体による、材料として使用するワニの扱いについての抗議運動に、バーキンさんが参加した上で自身の名称使用禁止を主張したことが唯一の危機と言えばそうかもしれない。もちろん、良質のワニ革の確保は年々、困難になっているとは業界内では言われている。しかし、この問題も両者の話し合いで昨年のうちに完全解決しており、現在の株安を尻目に盛況が続きそうだ。

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