ヘッジファンド業界は超がつく学歴社会で、名門のMBA取得者は当たり前のように存在するが、こと給与面ではアソシエイト職では非MBAの方が高くなることが、米調査会社サムゼロの調査結果によって明らかになった。非MBAはベース、ボーナスの中央値で20万ドルだったのに対して、MBAホルダーは18.4万ドル。インセンティブへのハングリーさが結果につながっている可能性もあり、MBAが一流ヘッジファンドマネージャーの一つの必須アイテムだったが、今後は業界内でも変化が起きるかもしれない。
サムゼロの2015年の業界給与レポートによると、中央値は役員クラスで40万ドル以上、シニアVPで35万ドル以上、シニアアナリストやディレクターで、約25万ドルとなっている。そして、アソシエイトでMBAホルダーが18.4万ドル、同職の非MBAが20万ドルとなっている。これは、アソシエイト1800人を対象に2012年~2015年の期間で調査集計したもの。
この現象について、サムゼロは「MBAを取得していない分、仕事に対するインセンティブを強く意識付けしている可能性が高く、MBAホルダーよりも競争力が高いのかもしれない」としている。MBA組に負けまい、とする反骨心が支えているということだろうか。
「一流大学卒業 ⇒ 金融業界入り(運用会社、投資銀行など) ⇒ MBA(経営大学院) ⇒ 金融業界(運用会社など) ⇒ ヘッジファンド創業」
現在業界の盟主たちのキャリアはおおむねこのような感じになっている。独立の際にはMBAホルダーの人脈も有効な武器の一つでもあることも事実であることも確かだが、将来はMBAをすっ飛ばすことが主流となる可能性もある。
また、運用資産総額の規模別でも、特徴が現れている。一般的には規模に比例しそうだが、10億ドル以上の大手になると少し違う。ベースは同じくらいだが、インセンティブの差が出ており、200億ドル以上の巨大運用会社よりも、50億ドル~100億ドル、100億ドル~150億ドルの規模の運用会社の方が中央値が高くなっている。他に運用戦略別では、2015年は、ディストレス債が中央値が40万ドル超えでダントツとなった。ディストレス債投資の最大手であるオークツリー・キャピタルのハワード・マークス会長がブルームバーグTVで、リーマンショック以来の好機が到来した、とも発言しており、16年以降もディストレス債のサラリーが高くなるか。