富裕層は節税規制を気にせずタワーマンション爆買い継続中

 国がタワーマンションでの節税への規制を「検討している」とのニュースが報道されているが、仮に「本当に規制されたとしても」それでもタワマン節税はまだ行う価値がある。

 例えば、資産3億円の富裕層(妻1人、子供1人)の資産がすべてが現金だった場合は、子供1人の相続税額として、3460万円も懐を痛めて払う必要がある。しかし、1億円台のタワーマンション購入による相続税対策をすれば、最大で2000万円以上も節税が可能で、仮にいま議論されている規制案が実施されたとしても、まだまだ2000万円程度は、節税が可能になる。つまり、国税庁のタワマン節税規制がもし実施されると、それで節税対策が封じられてしまうと早とちりしている人が多いが、実際は大きな勘違いだ。以下、不動産会社・税理士などの専門家のコメントを元に、具体例を見ていこう。


写真は六本木ヒルズとレジデンス
 総務省と国税庁が2018年をめどに、タワーマンションを使った相続税の節税対策についての対策を行う方針を固めたという。特にタワーマンションの高層階を購入した人は、同じ金額を現金で保有するよりも相続税額が8割減になるなど相続税対策として流行しているからだ。国はどのような規制をするのかだが、タワーマンションの高層階と低層階の評価額を補正することになりそうな見通しだが、双方の間にあった節税額の差が少し縮小するに過ぎないことに、報道では触れていないことが多い。

 一般に20階建て以上(60メートル)の高層マンションをタワーマンションと呼ぶが、建築計画があるものも合わせて全国で10万戸以上にも達しており、そのうち東京23区内で5万戸以上を占める(不動産経済研究所「超高層マンション市場動向2015」より)。節税目的で購入した人もかなりの数に上ると思われるが、それは効果が高いからに他ならない。実際に、東京都内でも千代田区の番町エリアや、港区の3A地区(麻布、青山、赤坂)などの1~2億円程度のタワーマンションは常に買い手の順番待ちで、規制が本当に実行されたとしても、節税対策にもなる物件として人気は全く衰えていないのだ。

 相続税の算定基準となる土地と建物の固定資産の評価額がどの住戸も一定となる。評価額を各住戸の床面積に応じて割り当てるために、価格の高くなる高層階がより資産圧縮効果が高くなり有利な相続税対策となっていた。相場としては低層階で7割以上、高層階で8割以上の評価減が発生することも多い。

 20年以上前からあった方法で、かつては、一部の富裕層や税理士たちが知る方法だったが、ここ数年は一般的に知られるようになった。「資産2、3億円程度の富裕層に最も向いている相続税対策」(業界関係者)とも言われており、特に資産が5億円以下で有効な相続税対策を欲していた富裕層たちにとっては渡りに船だったわけである。またたく間に広がっていった。

 それでは、実在する都内のタワーマンション(地上38階建て)の3階と31階の同じ面積の物件を例に、資産3億円の富裕層(妻1人、子供1人)の一次相続を検証してみる。

すべて現金の場合の子供1人の相続額は3460万円(無対策)
都内某タワーマンション(地上38階建て)の販売価格 
 階数  広さ   販売価格    
 3階  75.55平米 1億3800万円
 31階  75.55平米 1億7600万円 

規制前の現行の評価なら、節税額はすべて現金の場合(3460万円)よりも
3階  1739万円の得
31階 2402万円の得
※販売価格を基準に3階を70%減評価に、31階を80%減評価にして算出

仮に国の規制で評価補正が入った後の場合は
3階 1802万円の得
31階 2350万円の得
※3階を10%減、31階を10%増に補正してそれぞれ算出

計算方法については詳しくは後述
国税庁の公式サイト内にある、簡易計算システムに入力したもの

 現行制度下では、3階と31階で子供1人に掛る相続額は663万円の差が生じる(以下計算式を参照)。この格差を是正しようというのが、総務省と国税庁の案となる。富裕層からすれば、タワーマンションを買うなど資産圧縮をしないかぎりはもっと相続税がかかるため、高層階と低層階の評価補正などは取るに足らないどうでもいいことだろう。

 また、外部環境にも変化が出てきており、日銀のマイナス金利政策の実施をきっかけに、貸出金利の引き下げを実施する金融機関が現れるなど追い風は吹き始めており、高い与信力を背景にローンを組んで購入する富裕層も多いため、タワーマンション節税は今後も有効だろう。

<参考>

【1】総資産評価額(マンションの相続評価額と残り現金資産)

   マンション評価   残り現金資産  総資産評価 
 3階  4140万円  +  1億6200万円 = 2億340万円
 31階  3520万円  +  1億2400万円 = 1億5920万円

 ※マンション評価は相場を反映し、3階を7割減に、31階を8割減として算出

【2】基礎控除を引く

    総資産評価    基礎控除     
 3階  2億340万円  - 4200万円  = 1億6140万円
 31階 1億5920万円 - 4200万円  = 1億2072万円

【3】基礎控除後から、それぞれの税率を掛けて控除額を引く

    資産(基礎控除後) 税率   控除額  
 3階   1億6140万円 × 30% - 700万円 = 1721万円
 31階  1億2072万円 × 30% - 700万円 = 1058万円

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