ポールソン女性パートナーがファンド設立

 米著名ヘッジファンド運用会社ポールソン&カンパニーのパートナーだったサマンサ・グリーンバーグ氏が独立し、1億ドルを調達し、自身の運用会社マーゲイト・キャピタル(Margate Capital)を設立したことがわかった。過去には、女性ヘッジファンドマネージャー50傑にも選ばれたことがある存在。2007年の1年だけで150億ドルを稼ぎだす最大の功労者となったパオロ・ペレグリーニ氏は独立後は活躍していないだけに、女性運用者にとって最大の難関の一つである投資資金の調達に成功したグリーンバーグ氏には期待も集まる。

 男性よりも女性の方が運用成績が良いという結果は各種の調査でも言われていることだが、昨年KPMGが行った調査では、2007~2015年までの期間で見ても、女性の方が運用益は平均的に男性を上回ったが、投資資金の調達に窮したことが明らかになっている。


グリーンバーグ氏 (リンクトインより)
 リンクトインによると、グリーンバーグ氏はスタンフォード大大学院でMBAを取得、ゴールドマンサックス、チルトンインベストメントなどを経て、2009年7月から今年1月までポールソン&カンパニーに在籍していた。ポールソンでは、メディア、通信業界などをカバー、イベントドリブン戦略による投資で成果を上げており、最終的にはパートナーとなっていた。

 他にポールソンOBでは2009年に独立した、パオロ・ペレグリーニ氏が有名。同氏は2004年に入社すると、デリバティブ取引の知見を生かして、06年にいち早くサブプライムローンの崩壊が近いことをポールソン氏に進言、すぐさまCDSの仕込みを開始した。これが2007年の1年間だけの運用で、150億ドルの稼ぎを生みだすことにつながった、いわばポールソン社の最大の功労者でもある。2009年の独立後はPSQRキャピタルを創業し、古巣の旗艦ファンドであるアドバンテージ+などに投資したものの、大きな運用損を出して、資金の大半を引き揚げるなどして成功しておらず、現実はなかなか厳しいようだ。

 ただ、グリーンバーグ氏に投資資金を出す運用会社「ラミウス」がロイター通信の取材に対して、「抜け目ない熟練した投資家であることは証明されている」と答えている。すでに、アーンスト&ヤングが選出する女性ヘッジファンドマネージャー50傑にも選ばれるなど業界内では一定の評価を得ており、期待できそうだ。採用する戦略は株式ロング&ショート、イベントドリブン、M&Aアービトラージあたりになりそうか。

 女性ヘッジファンド運用者では、ナンシー・ジマーマン氏と、レダ・ブラガ氏が双璧となっている。ジマーマン氏はブレースブリッジ・キャピタルを創業し、運用総資産額は100億ドルを超え女性運用者としては業界では最大規模に。米イェール大の資産を20年で約20倍にしたCFOデビッド・スウェンセン氏から運用資金を任せられるなど、プロからも一目置かれる。ブラガ氏は、ブルークレストから独立してシステマティカ・インベストメントを創立、CTA戦略の代表的な存在となっている。

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