熊本県、大分県を中心に九州地方で相次ぐ地震による被害が広がっている中で、各方面からの支援や寄付などの動きも国内外を問わず日々広がってきている。ここで今一度、再認識したいのが「ふるさと納税」の存在。現在は年間に40万人以上が利用する制度で、「控除+特産品」で関心が高くなっているが、本来は納税者個人が寄付をする自治体を選ぶことができるというもの。もちろんこの制度以外にも寄付する方法は数多くあるが、大震災が起きた今こそ思い出したいところだ。
ただ、名称こそふるさと納税だが、そもそもが「寄付金」という位置付け。自分が寄付したい自治体に寄付することで、住民税から一定額の控除を受けることができるというものだ。制度開始の2008年は適用者が約3万人で、2010年まではほぼ横ばいで推移してきた。しかし、2011年3月に東日本大震災が発生し、特に東北の被災4県への寄付が大幅に増加するなど、約74万人まで増加した。
適用者 寄付金 控除額
2008年 3万人 72億円 18億円
2009年 3万人 65億円 18億円
2010年 3万人 67億円 20億円
2011年 74万人 649億円 210億円
2012年 10万人 130億円 45億円
2013年 13万人 141億円 60億円
2014年 43万人 341億円 184億円
◆2011年の東日本大震災の被災4県
適用者 寄付金
岩手県 3562人 3.3億円
宮城県 4469人 5.9億円
福島県 2420人 2.4億円
茨城県 1万613人 7.8億円
◆2010年の4県の適用者と寄付金
適用者 寄付金
岩手県 178人 3770万円
宮城県 303人 7660万円
福島県 295人 1.1億円
茨城県 463人 1.0億円
このように、2010年と2011年を比較した場合に、人数、寄付金額ともに大きく増加していることがわかる。すでに発生から5年が経過してこれだけの寄付金で十分とは言えるかどうかはともかく、少しばかりは被災自治体の支援には役立ったことだろう。また、現金という直接的な支援だけではなく、付随してくる特産品は地元業者らの産品を自治体が買い上げて、納税者に贈っている事が多い。そのため、地元業者や生産者への間接的な支援をしているという面もある。
株主優待に近い感覚ではなく、被災自治体を励ますためにも、本来のふるさと納税の役割の意味を見直すきっかけにもなりそうだ。
◆熊本県特設サイト