ICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)は26日、オフショア取引の内部文書「パナマ文書」について、すでに公表されたリスト以外のものを米東海岸標準時の5月9日午後2時に公表すると発表した。日本からの加盟社である共同通信社によれば、日本関係は270の法人、のべ400人規模に上る見通し。政治家などの公職関係はない模様で、民間人ではUCC上島珈琲の創業グループの人物の名前があるという。もちろん、最大の注目点はリークの「黒幕」とも見られる米国の関連ということにはなる。
現時点で史上最大のリークとも言われている「パナマ文書」。パナマの大手法律事務所であるモサック・フォンセカが持つ顧客関連ファイル、約2.6テラバイト、約1150万件の文書が、匿名の人物によって南ドイツ新聞にもたらされ、さらに協力したICIJとともに取材を進めて公表にいたった。その名前も、ロシアのプーチン大統領の親しい知人3人、中国の習近平国家主席、英国のキャメロン首相ら世界各国の首脳クラスが出たために、世界中の度肝を抜いた。
米国の政治家や要人の名前が出てきていないこと、さらには、仮想敵国の首脳を叩いた上で、オフショアセンターでは「世界最大手」の英領・旧英領潰しという意図が見えてもくる。その最終的なゴールは米国が世界最大のタックスヘイブンとなり、そうした資金をすべて還流させようと見るのが自然だろうか。9日の開示で米国関連がどのくらい出てくるのかが、最大の注目点となる。意図からすれば、ほぼ出てこないだろう。
また、日本関連であるが、警備大手セコムの共同創業者の名前がすでに共同通信の報道で出ている。そもそも、パナマで設立した資産管理会社の性格を持つ複数の法人にセコム株を保有させることで、相続対策を行っていた。ただ、この対策をただちに違法だとは言えず、日本国内やシンガポール、オランダなどでも一般的に使われている。おそらく、こうしたスキームを手掛ける会計士やプライベートバンカーらの勧めに従ったと見られる。パナマを使うことで、匿名性を守りたかったからだろうが、まさかの流出によって名前が出たことで世間体を悪くしてしまっただろう。
他にも、UCC上島珈琲の創業家の名前も出てくるということだが、こちらも、おそらくはセコムのようなパターンではないかと考えられる。
9日の公開で、米国関連、日本関連、さらにはこれまでに名前が出ていなかった要人、著名人など注目したい事項は多い。