世界の不動産業の長者番付をシンガポールのコンサルティング会社ウェルスXがまとめ、1位は中国最大の不動産デベロッパー、ワンダグループの王健林氏(61)で337億ドルだった。今、注目度ではダントツのドナルド・トランプ氏(69)は45億ドルで上には上がいる。中国、香港の中華系が上位十傑中7人が占めた。
いわゆる「不動産王」の異名を取る大富豪たちの長者番付だが、実際に保有する不動産資産だけの評価ではなく、自社株なども評価に入っている。中国国内のGDPの10%以上を不動産業が占めているということもあり、かなりの一大産業となっている。
1位の王氏は中国不動産デベロッパー最大手ワンダグループの創業者で、中国ナンバー1の大富豪である。相続ではなくセルフメイドで富を築いたが、父親は中国人民解放軍の英雄で生前は毛沢東とも昵懇の仲だった。昨今は国内外で大型の買収を続けており、東京でも不動産を購入している。将来的には中国でディズニーランドを経営、サッカーW杯の開催を目指してもいる。スペインの強豪サッカークラブ、アトレティコ・マドリードの株式も保有する。
とにかく拡大欲は旺盛で、世界の不動産王の座に君臨し続けることだろう。
◆不動産業界総資産ランキング
1 王健林 337億ドル 中国
2 李嘉誠 199億ドル 香港
3 ドナルド・ブレン 173億ドル 米国
4 許家印 89億ドル 中国
5 ステファン・ロス 79億ドル 米国
6 ジョセフ・ラウ 79億ドル 香港
7 トーマス・クオック 72億ドル 香港
8 レイモンド・クオック 70億ドル 香港
9 ウォルター・クオック 69億ドル 香港
10 ハリー・トリグボフ 64億ドル 豪
※敬称略
2位の李氏は盟主の座を王氏に明け渡してはいるものの、長年、アジアでナンバー1の大富豪として君臨してきた。
香港の不動産市場の崩壊を早くから言い続け、香港、中国本土の不動産市場が崩れる前に売却して欧米などに資本を移転させている。すでに自身は長男に跡目を譲っており、一線を退いたものの、いまだ発言には大きな影響力がある。
3位ブレン氏は日本での知名度は低いが米国ナンバー1であり、米不動産大手アーヴァイングループの会長で元海軍従軍経験を持つ。母は著名女優クレア・トレヴァー。オフィスビル、SCを多数展開するが、近年は自然環境の保全のために森林保有をするなどしている。
中国の不動産市場は2014年から投資家から見切りをつけられ、資金が株に向かい始めてこちらで乱高下が起きている。不動産業はGDPに占める割合は10%以上だが、不動産バブル崩壊によって、それらに関連する建設、素材などを周辺産業も巻き込むことが予想され、かなりの大打撃を受けることは間違いないだろう。こちらは、推移を注視しておかなくてはならない。
話をトランプ氏に移すが、米国大統領選挙の共和党候補者争いで旋風を巻き起こしており、共和党大会までに勝負を付けてしまいそうな勢いを持続している。その総資産は45億ドルとなる。もしも政界入りとなれば、グループのトランプ・オーガナイゼーションの副社長に座っている才色兼備の相続人イヴァンカ氏が跡を受けることになろう。父以上のスター性を持つ女性当主誕生となれば、それはそれで新たなトランプ王国を見てみたいところではある。