世界の和食ブームを支えるイギリス産わさび

 寿司を始め和食には欠かせない薬味であるわさびが、日本から遠く離れたイギリスで栽培が盛んであるとBBCが伝えている。

 ロンドンをはじめ欧州でトップクラスの和食の料理人たちが、THE WASABI COMPANY ENGLANDという会社が育てたわさびを買っているという。
 イギリス南岸のハンプシャー州でクレソンとサラダ用のベビーリーフの栽培を行っていた同社がわさび栽培に着手したのは2010年のこと。ある料理人が同社のクレソン畑を訪れたとき、日本のわさび沢のようだと言ったことに端を発する。

 クレソンとわさびの生育環境が似ていることにも着目した同社は、2年間の試行錯誤を経てわさびの栽培に成功した。
「イギリスの暗く湿気のある夏の気候が、わさびの生育には最高なんだ」
 WASABI COMPANY ENGLANDの社長、ジョン・オールド氏はBBCのインタビューにそう答えた。


THE WASABI COMPANY ENGLANDのウェブサイト
 日本では、わさびは「わさび沢」と呼ばれる水が豊富で、水温が年間を通して12~13度に保たれている場所で育てられる。

 日本のように水が豊富でないイギリスでまったく同じ環境を再現することは困難なため、畑にはスプリンクラーで水を送っている。わさび畑の場所は「企業秘密」だという。

 ロンドンにあるミシュラン2つ星のレストランも、同社の栽培したわさびを使用しているという。オールド氏は、イギリスだけでなくフランス、スウェーデン、ノルウェーやその他ヨーロッパの各国でこれほどにもわさびの需要があることに驚いたという。
 今やわさびを求めるのは日本料理店だけではない。ヨーロッパの料理にもわさびは数多く使われている。

「2020年の東京オリンピックのときは、日本もわさびが足りなくなるかもしれないから、そしたら輸出するかもね。輸送コストを考えるとそんなには出せないけど」
 オールド氏は笑う。

「イギリス産のわさび? おいしいと思えない」
 それが日本人の一般的な反応だろう。実際、ロンドンの日本人も同じ反応だった。しかし、彼らは畑を見て、口にしてその考えを改めた。今やイギリスのわさびの品質は、日本産に決して引けをとらないという。
「“わさびは日本のものでないと”と日本人が思うのは当然さ。日本人は1万年もわさびを使ってきたんだから。私たちはせいぜい6年だしね」

 オールド氏の会社では、生わさびを1キロ250ポンド(約4万円)で販売している。出荷まで短くとも18カ月、長くて2年かけて育てられたものだ。
 日本のわさびの価格がが1キロあたり1万~2万円程度であり、供給の量などを考えると4万円は決して高い価格ではない。むしろ日本からわさびをイギリスに輸入すればもっと高い金額になるだろう。

 独自の存在感を放つ島国に、意外な共通点があった。

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