来日した外国の友人をどの店に連れていくか?

 日本に来た外国人を食事に連れていく際、「どこに連れていったらいいか……」と迷った経験のある人は少なくない。
 宗教上の理由から食べられないものがある、ベジタリアンで肉や魚は一切口にしないという人は多い。特定の食材にアレルギーのある人もいる。

「日本を訪れたすべての人に懐石料理を味わってもらいたい」と、イスラム教徒が食べてよいものだけを使用した独自の「ハラール懐石」や完全ベジタリアン向けの「ビーガン懐石」を提供する日本料理店「伊勢すえよし」を取材した。
※「ハラール」はイスラムの言葉で「合法なもの」の意味。「ビーガン」は「完全ベジタリアン」の意味で肉、魚介類のほか卵、乳製品、はちみつも使用不可。完全に野菜のみを使う。


伊勢すえよしの店内
 伊勢すえよしの店主、田中佑樹氏は語る。
「本当ならばイスラムの教えで禁じられているものを切った包丁などは使用禁止なので、調理場所も道具も完全に分けなければならないのですが、今の調理場でそこまではできません。

 そこで『酒やみりんなどを使ったことのある厨房で調理します』とお伝えします。イスラム教徒でもそのことが事前にわかっていれば問題ない、旅先だからある程度は許容範囲、というお客様は多いのです。

 そしてご予約時に店の『ハラールポリシー』を提示して、ご納得いただくようにしています。使用する調味料も調理開始前にお見せします。

 大切なのは『安心して食べられる』と思っていただくことです。そのために講習を受け、ハラール管理者の資格も修得しました。

 一般的な懐石の献立からイスラム教徒の人が食べられない材料を除いていくだけなので、ハラール懐石は実はそんなに難しくありません。懐石で豚肉を使うことはほとんどありませんから。
 しょうゆや味噌には保存用にアルコールが使われているので、未使用のものを選びます。


筍の木の芽焼
 実は難しいのがビーガンの懐石です。アメリカ、ヨーロッパのお客様からのご注文が多くあります。ハラールよりもビーガンのほうがご注文はずっと多いですね。

 日本人にもベジタリアンはいて、ご家族で来られておひとりだけビーガンを注文される方もいらっしゃいます。

 肉や魚の代わりにこんにゃくや粟麩を使用したり、椎茸、蓮根、筍などを使ったりします。料理のおいしさは触感やうまみがつくり出している部分も大きいと思うので、それが感じられるものを選んでいますね。
 出汁も普通は昆布とかつおでとるのですが、昆布ときのこを使います」

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