現在の不動産を取り巻く状況について、不動産コンサルタントの大野晃弘氏に語っていただいた前回記事「崩壊寸前!? 不動産は「第3のバブル期」。
後半は「投資家は今の状況でどうしていくのがよいか」を引き続きお話をお願いした。
「アパートが供給過多」ともいわれるが……
相続税の増税を受けて、対策として急ぎ持っている土地にアパート・マンションを建てた人がたくさんいる。その結果、都市部でもアパート・マンションの空室が目立つようになってきたという。今後の不動産投資はどうなるのか。大野氏は語る。
「“収益不動産があれば自動で儲かる”は難しくなった、という声も聞かれますが、私に言わせていただければ、『相続税が上がるからアパートでも』と建てられた工夫のない物件が埋まりにくいのは当然です。
その物件の強み、弱みを知り、できるレベルでうまく差別化をすれば、ライバルは多くても充分に収益を上げることができると考えています。
部屋が広い物件だから、賃料が高くても借りてもらえるとは限りません。むしろ、狭くてもロフトをつけるなど、割安感を出すことですぐに満室になったアパートもあります。
『平日は忙しくて帰宅も遅いし休日は外出しているので、家は夜に寝られさえすればいい』と考えている人も増えてきました。そういう人に求められるのは整った設備よりも、家賃の割安感かもしれません。
あと、賃貸用で不動産投資を行うならば、『自分が住みたい家』として貸さないほうがよいです。
『大家が自分の住みたい家を作った』というと響きはいいですし、確かに借主の快適性は追求する必要はありますが、あまりこだわって費用もかけすぎると、かけた費用の回収ができなくなる可能性があります。
今は価値観、考え方も多様化しています。自分がいいと思うことを借主もそう思うとは限りません。むしろその設備はいらないと思われることもあります。不動産投資においては、採算が取れることを何よりも重視すべきなのです。
所有する不動産の選別が大事です。持っているもののすべてを有効活用することはできません。放っておいても収益を上げてくれるものもあれば、あまり儲からない、むしろ維持管理で損になっているものもあるでしょう。
どの物件もすべてを有効活用することはできないものです。それならば、不採算の不動産は思い切って手放してしまうのも1つです」