衆参両院は4日、国会議員の2015年分の所得に関する報告書を公開した。対象は714人。1人当たりの平均所得は2269万円で、前年公開時から158万円(6.5%)減った。減少は4年ぶり。
報告書は昨年1年間を通じて在職した国会議員が対象で、国会議員資産公開法に基づき今回、衆院472人、参院242人が提出。衆参別の平均は衆院2294万円、参院2220万円だった。
株などの配当所得について、報告した人の平均は273万円で前年より112万円減った。
15年中に増えた不動産や預貯金などを記載する資産補充報告書は204人が提出した。
16年4月1日時点で報酬を得ている企業・団体を届けた議員は173人だった。
歳費は消費税増税への理解を得るため14年4月まで20%削減されたが、15年は1年間を通じて満額支給された。
渡辺氏は居酒屋チェーン大手ワタミの創業者。14年分は外国株式の売却などで12億8109万円だった所得が、1億5172万円へと大幅に減った。2位は公明党の岡本三成衆院議員の9174万円。自民党の新谷正義衆院議員が8195万円で3位につけた。
2位の岡本氏は、元ゴールドマン・サックス執行役員。不動産収入が多く、5640万円にも上る。都内の大田区、杉並区の他にも、米国ニューヨークに合計で3000平方メートル以上の不動産を保有している。
3位の新谷議員は医師で、原子力問題調査特別委員などをつとめ、現在は自民党の広島県衆議院比例区第一支部長も務めている人物。
4位の河野正美氏も同様に医師で、衆議院議員を父に持ち、地元の河野病院の院長として地域医療に従事。現在はおおさか維新の会の支部、福岡維新の会の代表を務めている。
5位の中西健治氏はJPモルガン証券の取締役副社長を務めたのちに政治の世界へ。その経歴から、岡本氏同様に不動産等の資産を多数所持していることは想像に難くない。
故・鳩山邦夫氏は6位にランクイン。2014年の所得は2億9491万円だったが、株式5銘柄201800株の売却により、2億円以上のマイナスとなっている。
毎年発表されているこの所得だが、同時に疑問も残る。先日、鳩山邦夫氏の相続税を計算した結果、計上された資産の合計は225億円となったが、この度の発表では、7300万円にとどまっている。もちろん資産と収入はまったく異なるが、それにしても金額の開きは大きい。
また、麻生副総理の所得が4117万円、安倍総理が3771万円である。総理大臣レベルでこの金額はさすがに少ないだろう。渡辺美樹氏はワタミの会長から政治家に転身したことで収入が減ったと公言しているが、カネがモノを言う「政治の世界」でこの金額はさすがに考えにくい。
この報告書が果たして現実を反映しているのか、果たしていないと考えるが、では一体何のための発表なのか、疑問が残る。