末期がんを完治!? 副作用ゼロの治療法①

 厚生労働省によると、2014年にがんで亡くなった人の数は36万8103人で、死亡総数の28.9%を占め、がんは日本人の死因のトップとなっている。
 長期の入院、抗がん剤による強い副作用など、治療そのものも患者にとっては大変な負担となる。

 入院をせず、投薬のみで、しかも体のいろいろな場所に転移した末期がんすら治療できるとしたら――そんな夢のような治療を研究し、実際に成果も上げている、北青山Dクリニックの阿保義久(あぼ・よしひさ)院長に話を聞いた。

がん細胞を「普通の細胞と同じにしてしまう」

「今まで、がんの治療のためにできることは、大きく2つでした。1つは『切る』、手術でがんそのものを切除する方法です。これはとても優れた方法ですが、手術ができるのはがんが初期のまだ転移していないときのみで、がんが1カ所にとどまらず周りや全身に波及してしまっていたら、手術で取り切ることはできません。

 また、患者さんには体力的に大きな負担がかかります。『自分の体にメスを入れるのは絶対に嫌』という方も時にいらっしゃいます。
 手術による治療ができないときにしばしば選択されるのが『抗がん剤による治療』です。抗がん剤は転移したがんの治療として効果はありますが、髪の毛が抜けるほか、強い副作用に苦しむことになるなど、その治療を行うことによって生活の質が著しく低下するというマイナス面が避けられません。

 がん治療として免疫治療は新たに期待される治療法ですが、副作用や治療効果の限界もあり、『がん治療の切り札』はないのが現状です。

 そして、以上の治療は、『がんを敵と捉えて、がん細胞を消去するもしくは殺してしまう』という考え方に基づいています。

 私が行っているのは、それらの治療法とは一線を画するものです。簡単に言いますと、『がん細胞を殺そうとするものではなく、その悪い性質を取り除くことにより、がん細胞を普通の細胞と同じにしてしまう』というものです。

『DNA』は多くの方がご存じと思いますが、それと対を成すもので『RNA』というものもあります。DNAが人や動物の体の設計図だとすると、RNAは体を作り、体を動かす実行部隊です。

 このRNAを操作し(“RNA干渉”と言います)、がん細胞を制御しようというのが、私が行っている『遺伝子治療』です。
 いろいろなタンパク質のなかで、がん細胞の中にたくさん発生している「CDC6」というタンパクがあります。これががん細胞の悪い性質の原因と言えるので、このたんぱくを消し去ることで、がん細胞の邪悪な振る舞いを止める、というものです。

 がん細胞とは、正常な細胞の遺伝子が突然変異することで発生します。
 この治療は、もっと簡単に言えば『遺伝子の突然変異で発生したがん細胞を、普通の細胞に戻す』ということです。

 遺伝子の突然変異の結果生まれたがん細胞は、普通の細胞とどのように違うのか。細胞というものは分裂して増えていきますが、普通の細胞は必要以上に増えることはありません。本来、人の体は必要ないものをつくることはしないのです。

 また、細胞は『アポトーシス』します。アポトーシスとは細胞にプログラムされた自殺現象のことを言います。自分に役割がないとわかったら、細胞は自然と消滅するのです。これも自然の摂理と言えます。

 しかしがん細胞だけは例外で、無限に増殖していく性質があります。アポトーシスせず、消えることもありません。その結果がんが無制限に大きくなる、ほかの場所に無秩序に転移するなどしていくのです。

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