富裕層が民泊を成功させるには○○○○が鍵②

民泊をめぐるトラブル

 前回記事「富裕層が民泊を成功させるには○○○○が鍵①」では、民泊のメリットを説明した。集客、集金などに関して環境が整っており、そう大きな手間でなく始めることができるが、民泊に関するトラブルも多々発生している。トラブルは大体3つに分類できる。

①宿泊者とのトラブル
 宿泊者が夜中に騒いで近隣に迷惑をかける、部屋の備品を盗むといったトラブルが多く発生している。どのような人が泊まるかはわからないが、民泊業者のサイトには、ユーザーに対するレビューがつけられるようになっている。店の評価をするように泊める側の評価もできるが、泊まった側の評価もできるのだ。
 部屋をきれいに使ってもらえたなどのユーザーには高評価がつき、悪質なユーザーには低評価がつく。低評価のユーザーは予約を受け付けないなどの対策が必要だろう。

②大家、マンション管理組合とのトラブル
 民泊のトラブルで一番多いのがこれだ。居住用と偽って借りたマンションで大家やマンション管理組合に無断で民泊を始める、いわゆる又貸しだ。多くのマンションは①のようなトラブルを懸念し民泊使用を禁止している。区分所有であれば民泊は又貸しに該当しないが、昨今の民泊の増加からマンションの管理組合が民泊利用を禁止することがよくあるため、持ち主が退去することになるケースも多い。

 自身が所有するアパートであれば、大家の一存で民泊使用が可能だが、大規模マンションの場合、マンションの管理組合の力が強大で大家といえど組合の許可を得なければ民泊ができないケースがある。そこは確認が必要だ。

③法律、規制をめぐるトラブル
 一番不確実なのがここだ。宿泊施設が足りず訪日外国人の数に限りが生じているのが現状のため、外国人旅行者の数を増やしたい政府は民泊を推進しているが、法律や規制がまったく追い付いていない。

 近い法律としては旅館業法になるが、民泊は現行の法にそぐわない部分が多々ある。
 たとえば旅館業法では「宿泊施設は住宅街から離れた場所にあること」とされるが、民家を使用する民泊はその時点で合っていない。

 ほかにも宿泊者の受付用カウンターがあること、泊める側は原則として宿泊を拒否してはならないといった規定があるが、カウンターのある民泊施設はゼロに等しい。また、民泊では先述の通り貸す側に拒否権がある。


Bruno Levesque/IP3/Getty Images
 ホテル、旅館業界の反発も根強い。民泊が盛んなフランスではホテルが数多く倒産しているほか、パリのテロ実行犯は民泊施設に滞在していたことなどを理由に、業界は規制をかけようと躍起になっている。

 民泊が可能な日数を限るべき、2泊以上の宿泊ならばよいのではないかなどの議論が行われているが、決定的な動きはまだない。

 国が推進している一方で、市町村として民泊を禁止する動きを見せているところもあれば、民泊特区として民泊を推進しようとしている自治体もある。

 ホテル・旅館業界は民泊規制の理由を「宿泊者の安全が確保できない」としているが、自分たちよりも安く外国人旅行者を泊めるライバルを野放しにしてほしくないというのが本音だ。
 実際のところ、多くの宿泊者は民家に宿泊して犯罪レベルの危険があるとは考えていないうえ、「ホテルではない」ことを理解したうえで民泊を利用している。

 先日の元ホテルオークラ総支配人の石原氏の話にもあったが、ホテルの利用者と民泊の利用者はバッティングしないという。需要は多く、限られたパイを奪い合っている時ではないわけであり、ホテル・旅館ならではの良さ、サービスを提供することで民泊とは住み分けが充分に可能ではないだろうか。

 また、国も訪日を推進したいので、あまり規制はしたくないというのが本音だろう。法律や規制に関する動きの遅さや法律の解釈をめぐるやりとりには、宿泊地提供者の動きを制限するよりも、1人でも多くの外国人に来てもらい外貨を獲得したい様子が透けて見える。

富裕層の民泊はどのように始めるのがいいか?

 それらの現状を踏まえると、民泊のために新たな不動産を購入するのは得策ではなさそうだ。腰が重く動きは遅いものの、どんな規制がかかるかが、現時点では未知数だからだ。
 新たに購入し民泊用に整えるとなると、安くない初期費用が発生する。先述のように今後が不透明である以上、投資費用の回収にあまり時間がかかる事態は避けたい。

 あくまでも現有の不動産を有効活用するための方法と考えて、行っていくのが良いだろう。

 面白いもので、しっかり費用をかけて快適さを追求したから高収益物件になるとは限らない。
 高い快適性を求める旅行者は、ホテルに宿泊するからだ。むしろ、設備は最低限だがホテルよりも安い価格で泊まれることを一番ありがたがる宿泊者も多い。
 その意味でも、現状の有効活用が鍵となる。
 富裕層の所有する不動産は、そのもののクオリティが高い分、なおのこと余計な手を加えなくとも充分に収益化できる可能性が高い。

 また、どこまで実際に行うのがよいかについても線引きが必要だ。収益は少なくなっても、完全に代行業者に任せてしまうのも、トラブルやストレスから解放されるという点では良いかもしれない。

 民泊で収益を上げている人によると、人とコミュニケーションをとるのが好きなタイプに民泊は向いているという。

 今後に向けて不透明な点は多いが、需要は間違いなくある民泊。不動産の有効活用方法として注目がますます高まっている。

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