富裕層は本当に税金を優遇されているのか?

「庶民の暮らしを良くするためには、富裕層への課税強化が欠かせない」
「政府は大企業と富裕層を優遇している」
 選挙のときなどに、「庶民の味方」を名乗る政党などからよく言われる言葉だ。
 果たして、富裕層はそんなに優遇されているのだろうか。富裕層はそれほど、払うべきものも払わずにいい思いをしているのだろうか。
 ゆかしメディア編集部は、専門家の意見等を聞きながら、検証した。

所得税の5割は4%の年収1000万円以上が負担

 日経新聞が作成した、非常に興味深いデータがある。1999年以降、年収700万円を超える人は全階層で所得税額が上昇し、700万円より低い階層は軒並み所得税額が減少したというのだ。
 年収600万~700万円の人は1999年の所得税負担額は19.7万円だったのが、2017年の予測では19万円に下がっている。
 それ以下の年収も同様だ。その人たちの税負担は2004年をピークに下がっている。


日経新聞の記事より


日経新聞の記事より

 この記事によると「社会保険料の上昇に伴って課税所得が下がったことや各政権が行った減税策の影響で、負担はむしろ減っている」という。

 では年収700万円以下の人々の軽減された負担を、誰が肩代わりしているのだろうか。負担が大きくなっているのが、年収700万円以上の人たちだ。

 所得税は累進課税であり、課税の対象である所得が大きくなればなるほど上がる。最高税率は55%(所得税45%+住民税10%)だ。
 年収1000万円以上1500万円未満の人の所得税負担は、1999年は88.7万円だったのが、2017年は111.6万円になると予想されている。22万円の増加だ。
 年収1500万円を超えると約51万円、2000万円を超えると約45万円の増加で、2500万円を超えると、何と約304万円の増税だ。

 庶民の暮らしをよくするために、富裕層は充分課税を強化されているのだ。

 しかも、高額の所得税を負担する高年収の人々の割合は減っている。年収1000万円を超える給与所得者の割合は、1999年は5.6%だったのが、2014年はその割合が4.1%に低下した。
 1999年の時点で高所得者の所得税負担割合は41.3%だったのが、構成人数が減り、さらに低所得者優遇政策がとられた結果、負担割合は49.1%にまで上昇した。


日経新聞の記事より


日経新聞の記事より

 所得税は、上位4%の人が50%を負担しているのだ。
 高額納税者への課税は、ゆるやかだが確実に強められている。

「日本に本当の富裕層はいない」と言った人がいる。稼ぎが多くとも、これだけ高額な税金を課されれば、手元に残るお金などほんのわずか、ということだ。

 パナマ文書で問題になったような、富裕層は海外に富を隠しているというイメージのある人も多い。だがパナマ文書に関する実態が明らかになってわかったのは、日本人は誰ひとり税金逃れでオフショアを使用していなかったということだ(オフショアやパナマ文書についての説明はこちら)。

 平成27年度の税制改正では、財産を3億円以上保有する人は財産債務調書の提出が求められるようになった。保有財産についてはますます監視の目が強くなり、海外へ資産を持ちだすことに関しても、厳しくなっていく。

 相続税についても増税された。富裕層はこれからどのようにして財産を守っていけばよいのか?
 対策がないわけではない。次回は効果的な対策について、説いていく。
 8月30日更新予定(急なニュース等により変更の可能性もあります)。

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