11月の投票まであとわずかとなったアメリカ大統領選。共和党の候補ドナルド・トランプ氏が移動に使用している、超豪華なプライベートジェットが話題になっている。
「TRUMP」と機体に大きく書かれた彼の飛行機は全長43.32メートル、両翼38.05メートルのボーイング757機で、民間機なら乗客数が200人程度の中型レベルの航空機だ。
プライベートジェットは乗客数が多くないため、機体が小さいものがほとんどだが、トランプ氏のジェットは、一般的なプライベートジェットの3倍もの大きさになる。世界でも最大級のサイズだ。
その飛行機が空港に降り立つとき、飛び立つとき、多くの人がその特徴的な機体の写真を撮る。空港での注目度はとても高い。
エンジンは高級車、ロールスロイスのものを搭載しており、大きなエンジン音がしない。エンジンはトランプ氏がこだわったものの1つだ。
内装は非常に豪華だ。民間機であれば200人以上の座席を置ける機内に、客席数はわずか43。57インチの巨大なスクリーンを備えたホームシアターや、2つのベッドルーム、シャワーもある。
シートは豪華な素材を用い、シートベルトなどの装飾品には24金や、貴重なマホガニー材を使用したテーブルなどがある。
ほかにもミーティングルームやキッチンなども備えた。
実業家として総資産は45億ドルとされ、現在は大統領選でアメリカ全土だけでなく世界中を飛び回るトランプ氏は、プライベートジェットでの移動時にミーティングをしたり、休息をとることもしょっちゅうだ。これまでに一度のフライトで20人以上を載せて飛んだこともあるという。
プライベートジェットで働く人々
プライベートジェットには、プライベートパイロットがいる。ジョン・ダンカン氏は1989年からトランプ氏のプライベートパイロットを務める。
その役目は、トランプ氏を安全に運ぶのはもちろんのこと、多忙なトランプ氏はフライト予定が早まるなど突然のスケジュール変更等も多いので、臨機応変な対応が求められる。
予定航路の途中にトランプ氏所有のゴルフ場があり、空の上から見たいのでその部分を低速、低空で飛んでほしいといったリクエストもある。
トランプ氏はダンカン氏に、飛行機が出発できる状態になっているか電話をかけて確認したり、飛行中にもコックピットに寄ったりと、スタッフとも気さくに接する。
プライベートジェットにはパーソナルフライトアテンダントもいるほか、パーソナルな飛行機の整備場があり、そこで専門に働く整備士がいる。
プライベートジェットの稼働予定がないときは、そこで整備が行われている。トランプ氏は内装などの細かいところにも常にパーフェクトを求める。プライベートジェットの内部はショールームでもあると考え、機能的であるだけでなく美しさも重視するため、稼働しないときも安全面以外でも日々整備が行われている。
パイロットのダンカン氏もそこに立ち会い、機体の状態などを確認している。整備の仕上げに関わることもしょっちゅうだ。
機内食は、トランプ氏が所有するトランプタワーの中にあるレストランから運び入れることが多い。
トランプ氏の好みを知り尽くしたシェフが腕をふるう。
トランプ氏のプライベートジェットに関わる人は、これだけではない。
発着する空港の滑走路を確保する、空港内でのチェックのための場所を確保するための人員もいる。特に空港は民間機も多数離着陸しているため、トランプ氏を待たせることなくスムーズな離着陸を行うことが欠かせない。
大統領選の討論が長引いた結果トランプ氏の到着が遅れ、ジェットが離陸できないといったこともよく起こる。
空港によっては遅い時間は閉鎖することも多いため、そうなると担当は気が気でない。
国内の移動距離や時間を考えると、飛行機が最も効率のよい乗り物だからだ。
快適なプライベートジェットは休息の場にもなる。
アメリカの空港はプライベートジェット専用のゲートを設けているところも多く、搭乗もスムーズだ。
大統領選の行方だけでなく、その豪華なプライベートジェットも多くの注目を集めている。