国の富裕層に対する課税を強化する、監視を強めるといった動きが盛んだ。
タワーマンションの高層階に対する課税強化
そのほかにも、国税庁は国際的な租税回避や富裕層による海外への資産隠しなどに対応する「国際戦略トータルプラン」を公表した。
このなかで、富裕層の中でも特に資産を持っている「超富裕層」と呼ばれるたちの情報を専門的に集めて監視する取り組みを、来年7月から全国に拡大することを明らかにしている。
なお、超富裕層とは野村総合研究所の発表によると、不動産による資産とは別の金融資産のみで、負債を差し引いた預貯金や株式、投資信託、債券などの純金融資産の所持総額が5億円以上である人々とされている。
これらの報道を受け、ネット上では「もっと富を再分配すべき」「まずは政治家が徹底しないと」といった声が多々見られた。
当事者の実感は「そのくらいもうやっている」
一部で大いに話題になったそれらの発表だが、富裕層にしてみれば「また始まった」くらいが実感なのではないだろうか。これらの動きの目的は「パフォーマンス」の部分が大きい、むしろそれが目的のすべてだからだ。
パナマ文書等の報道により、世論は実態を知らずにイメージで「富裕層が優遇されている。税逃れをしている」ととらえ、批判している面が強い。そして、その批判をそらすために、様々な“それらしい”動きが行われている。
発表されたプランは、どれも先の話で、かつ具体性に欠ける。「それっぽいこと」を言っているにすぎない。
その意味では、当事者たち(税金を徴収する側、される側)にしてみれば「大衆が言うことくらいとっくの昔に考えているし、お互い手は打っている」というところだろう。
ここ最近の動きでまったく新しいものは存在せず、今まで言われていたものに少しだけ具体性が足された、というところだ。
ただし、気をつけるべきは国は海外へ資産流出に神経を尖らせていることだ。
富裕層の資産が流れることに対する監視の目は、以前よりかなりシビアになった。富裕層に対する税務調査を盛んに行うなど、海外に流れそうな資産に対する課税を国は強化している。
税務調査の結果申告漏れとされ、追徴や世間に対する見せしめ的な報道をされるといったことのほうが、よほど痛手となる。
一般紙では報道されないが実際に起きている、起こり得る動きにこそ、富裕層は注意を払うべきだろう。