かんぽ生命がヘッジファンドでの運用を開始

 かんぽ生命保険が2016年度下半期より、ヘッジファンドによる運用を開始すると、ブルームバーグが報じた。
 現在のゼロ金利政策下では、円金利資産での運用を続けてもリターンが乏しいと判断し、リスク性資産の残高を拡大する。

 ヘッジファンドで為替リスクを回避(ヘッジ)した外国債券と国内外株式を積み増し、海外クレジットやバンクローンなどの投資を拡大する。海外クレジットの投資拡大などにより、その残高は増加していく見込み。そのほかにも、下期から株式の自家運用も始める。

 かんぽ生命の資産の割合は公社債が7割以上を占め、内外株、外国債券などのリスク性資産は6.9%にとどまっていた。
 同社は今後も続くと予想される低金利に対する処置として、資産運用の多様化と体制の強化に取り組んでおり、今年7月にはオルタナティブ運用の責任者として春名貴之執行役員兼運用開発部長が就任した。春名氏はジャパンオルタナティブ証券の取締役兼執行役員を務めていた。

証券会社より増員、今後も増やす方針

 ジャパンオルタナティブ証券は三井物産100%出資の日本の証券会社であり、2001年12月21日に設立され、本社は東京都千代田区にあり、ヘッジファンドなどのオルタナティブ投資商品を専門に扱っている。
 春名氏は「全体の資産を見た中で、分散効果が得られる規模感を考えている」と話し、米国を中心とした海外の運用者の比率が高くなると述べた。

 かんぽ生命保険は今年度中に海外クレジット・オルタナティブ分野で、出向を含め20人程度を採用する方針だ。また、同社の奈良知明執行役兼運用企画部長は、「これまで保守的、安全な運用を行っていたので、今後もリスク性資産拡大の余地はある」とし、資産運用に関する社員数を現在の130人から、新規分野の専門人材の採用を行い、16年度末には140人体制にしたいと話した。

 年金などの運用失敗がときどきニュースになるが、海外ではヘッジファンドによる運用は、一定以上のクラスでは常識になっている。
 ハーバード大学やノーベル財団など、資金を増やすよりも減らさないことを何よりも重視する団体が運用の手段として選んでいるほか、世界の富裕層が利用していることからも、日本の「絶対に減らさないこと」が求められる組織の運用も、世界標準を取り入れる方向に動き出したと言える。

 NISAの設置、条件の緩和など国民に投資への参加を求める国も、世界の標準に合わせることを目指してきたと言えるだろう。
 とはいえ日本では投資のリテラシーが低く、投資の失敗に対しネガティブに考える人の数が非常に多い。
 仮に運用に失敗した場合、「外国のよくわからないものに預けるからだ」と、詐欺にでもあったかのように騒ぐ層が一定数いることは想像に難くない。かんぽ生命は運用に人材を用意し、準備を進めながらも足取りは非常に慎重だ。

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